蜩ノ唄5
人の噂なんて信じてはいけない。
そう母親に言い聞かされてきた慈郎は、にわかにその事実は受け入れがたい話だった。
宍戸を台所に残し、慈郎を追いかけてきた侑士は固く閉じられた部屋の襖の前で立ち尽くしていた。
何か声を掛けたいと思案するが上手い言葉が見つからない。
あの慈郎が何かを言いかけていた。
言葉の続きが気になり部屋の前にまで来たものの、部屋の中は物音一つしない。
考える事数分。ようやく意を決し、侑士は口を開いた。
「慈郎さん…?」
部屋の空気が僅かに動くのを感じた。
恐らく侑士の声に慈郎が驚き身を動かしたからだろう。
「あの……さっき何か言うて…」
「何でもない」
怒鳴られる事を覚悟して遠慮がちに声をかける。
しかし返ってきた声は思いの外落ち着いたものだった。
否、落ち着いているという表現より、怒り以上の焦りを含む声だ。
「何でもないて…何か言いかけてたやん。どないしたん?何かあった?」
なるべく刺激をしないようにと、侑士はいつも以上に声を抑え優しくそう問う。
「慈郎さん…?」
物音すらしなくなった室内に不安になり、意を決して襖に手をかけた。
その時、誰もいないはずの背後から突然肩を叩かれ、飛び上がり驚いた。
振り向くと神妙な面持ちの滝と宍戸が立っている。
「な…何や二人かいな…あー吃驚した…」
「今度は篭城か…ほんと、困ったちゃんだね」
固く閉ざされた襖を前に往生する侑士に滝が微笑みかける。
「僕たちに任せてくれませんか?」
「え…?」
「今ちょっと混乱してるみたいだし、僕達になら何か話してくれるかもしれないでしょう?」
滝の尤もな提案に、一瞬逡巡する。
確かに友達の彼らになら話せる心の内もあるだろうと侑士はその場を滝らに任せる事にした。
「そう…やな……ほな…表に水打ってこぉかな…」
そう言って玄関から出て行く侑士を見送り、滝は襖に向けて声を上げた。
「入るよ」
言いながらもう開けてるんじゃねぇか、と宍戸は呆れ返った。
自分の領域には絶対に他人を入れない癖に、他人の領域には平気で入り込む男なのだ。
それも相手に怒る隙を与えない振舞で、だ。
流石は跡部が苦手とする奴だと妙な感心を覚えてしまった。
案の定慈郎は勝手に部屋に入った事を咎める様子はない。
部屋の隅で呆然としたまま膝を抱えて座っていて、情けない顔を二人に向けている。
「滝……宍戸…」
「どうしたの?」
適当な距離を置き、滝は畳の上に正座する。
いつものように茶化す雰囲気を消して、真面目に慈郎の話を聞く態勢を作った。
宍戸も滝の隣りにどっかりと胡坐をかいて座り、何があっても動じないという空気がある。
そんな二人に触発され、慈郎は目を逸らしたまま重い口を開いた。
「あいつ……何か言ってたか?」
「あいつってどっち?侑士さん?それとも跡部?」
長い沈黙の後にぼそりと呟かれたのは
「…ゆーし」
敵の名前ではなかった。
「何も。でも、心配してたよ」
「心配……か…」
「俺はね、別に怒りに来たわけじゃないんだからそんな隅っこにいないでこっち来て座りなよ」
確かに今の慈郎は親に叱られた後の子供そのものだ。
滝は自分の前を示し、慈郎を呼び寄せる。
一瞬嫌そうな顔をしたが、距離を縮め、また目を逸らした。
宍戸は口を挟む暇もなく、ただ滝の動向を見守るしかない。
表では侑士が打ち水をしているのか時折水の音がする。
静かな部屋にその音だけが木霊している。
不意に慈郎が口を開く。
「俺…ちょっと頭おかしいのかも」
「どんな風に?」
慈郎が何かを言うのを待っていた滝は間髪入れずに応える。
その顔はいつになく真剣な表情で、慈郎は今にも泣きそうな表情を浮かべた。
「何情けない顔してんの。さっき負けたくないって思ったんだろ?跡部に。
渡したくないって。それで、侑士さん大事に思ってんだろ?」
「それって……」
黙って頷く慈郎に、ようやく何かに気付いた宍戸が絶句する。
いくら鈍いとはいえ、流石に気付いたのだ。
慈郎自身持て余していた思いに。
宍戸がそれ以上何かを言わないよう滝は目で制すると、もう一度慈郎に向き直る。
「そういう気持ちって、どういう事か……解るよね?」
再び部屋に静寂が訪れる。
その時間は優に十分はあった。
打ち水を終えたのか、侑士が玄関を開ける音がする。
一瞬慈郎の部屋の前で足音が止まるが、また動き出し居間の方へと向かった。
その音を見送り、ようやく慈郎が音に出してその言葉を放った。
「…俺は………あいつが好きなんだよ…」
下宿先に戻り、台所に立つ滝の背中を黙って見つめる宍戸に、少し剣のある視線を寄越す。
「何黙ってんの?」
「いや……ちょっと信じられなくてよ」
「何が」
皆それぞれに好物もあるが、大抵その日勝手の係になった者が好きに献立を決める。
滝は自分の好きな煮物の下ごしらえをしながら、背後で座り込んだままの宍戸の話に耳を傾ける。
「慈郎が侑士を好きだって事もだけど…それ以上にあいつが素直に口にした事……好きってさ…まさか言うとは」
「それだけ張り詰めてたって事なんじゃないの?溜め込みすぎて自分でもどうしていいか解らなかったんだよ」
「だからあんな態度とってたのか?」
「そういう事」
わしわしと頭を掻く音がする。
黒く艶のある宍戸の髪の擦れる音が止み、暫くは滝の動かす包丁の小気味良い音だけが勝手に響いた。
「まだよく解ってねぇんだけどよ…もしかして跡部も…」
「そうなんじゃない?」
宍戸が言い終える前に言わんとする事を的確に読み取った滝が先に答える。
以降、二人の間にまた沈黙が訪れる。
夕飯の支度がすっかり整い、その匂いに誘われ鳳と向日がやってくるまで。
「お疲れ様です滝さん。お手伝いしますね」
腹が減ったと食事を摂る大テーブルで座って大騒ぎするだけの向日とは対照的に鳳は当番でなくても進んで手伝っていた。
滝がおかずを盛った器をテーブルに並べながら、鳳は宍戸の様子がおかしい事に気付く。
向日の隣に座り、ぼんやりとしたままの宍戸に心配そうに問いかける。
「どうかしたんですか?宍戸さん…何か元気ないみたいですけど」
「あ…いや、何でもねぇ」
「お腹減ってんだよね。ほら跡部呼んで来てよ。ご飯にしよう」
「…お…おぅ」
滝は宍戸の背中を押し、促すようにドアの向こうに追いたて、こっそりと耳打ちする。
「あのね、気になるのは解るけどもうちょっと自然に振舞いなよ。
慈郎だって大勢にはやし立てられたくないだろうし、
あいつの…跡部の耳に入ったらまた何しでかすかも解らないんだから」
今までさんざん引っ掻き回して遊んでいた奴が何を言っているのかと一瞬思ったが、
慈郎の前に居た時と同じ真剣な表情を見せている。
宍戸は神妙に頷いた。
「何やってんだてめぇら」
「どわっ!!跡部っいきなり現れるんじゃねぇ!」
「飯だ飯だって向日が騒ぐ声が聞こえてんだよ」
二人の話は聞いていなかったのか、跡部は何も言わずにダイニングに行ってしまった。
溜息を噛み殺し頭を掻きながら戻ろうとする宍戸に、滝は話があるから食事が終わったら部屋に来るように伝えた。
向日が一人はしゃぎ、時々鳳が宍戸に話しかける以外に特に会話もなく食事が済んだ。
勘のいい跡部は何かに気付いているようだったが、何も言わなかった。
逆にその沈黙が不気味なほどに。
宍戸は食事前に言われた通り滝の部屋に行った。
話の内容はだいたい解っている。
滝の部屋は綺麗に整頓されていて、同じ間取りであるのに宍戸や向日の部屋とは違う場所に思えてしまう。
綺麗すぎる部屋に妙に緊張する宍戸に座布団を差し出し、滝は早速口を開いた。
「本当に気付いてなかったんだね、君達二人は」
「二人って…」
「君と鳳。向日は薄々感じてたみたいだし」
向日は慈郎と仲がいい。
だから気付いたのだろうが、それは身内としての感情だと思っている節がある。
それに大好きな侑士を跡部なんかに取られたくない、という気持ちの方が強いようだ。
「俺達がここに来るより一年前から跡部はここに住んでたわけなんだから…侑士さんの事も何か知ってるのかもな……」
「何の話だよ」
「跡部がね、気になる事言ってたから。あいつがどこの誰でも関係ねぇって慈郎に啖呵切ってたからさ」
「どこの誰でもって…どういう意味だ?」
宍戸が顎に手を当て考える素振りを見せる。
考えど解る事ではないが記憶にある限りの事を振り絞る。
「そういや…」
「何か知ってるの?」
「跡部がよ、言ってた気がすんだよな……侑士は昔大阪に住んでたって」
「それだけ…」
手を叩き意気揚々に言うので何か有力な事かと思ったが、やはり大した事ではなかったかと滝はげんなりとした。
ようやくひねり出した事を非難され、宍戸は不満げな顔を向ける。
「んだよ…じゃぁお前は何か知ってんのかよ」
「知るわけないじゃん」
堂々と言い放つ姿にこういう奴だったと宍戸の溜息が舞う。
「あ、でも大阪のどこかってのは結構重要かもね。ここに来る前に何やってたかって解るかも」
「普通に学校とか行ってたんじゃねぇの?」
そういえばその可能性は考えていなかった。
滝は宍戸の普通の感覚に感謝した。
何か訳ありな雰囲気に、侑士の過去に何かあるのではと決め付けていたが、
京都に来てから何かがあったのかもしれない。
全て憶測の域を脱しないのが不満だが、今はそれ以上を望めない。
「慈郎も知らないんだよね…なのに何で跡部が知ってるんだろ」
「調べたんじゃねぇの?あいつの事だから金に物言わせてよ」
「そうだろうね。………慈郎も知らない過去、か……」
慈郎は三年前この屋敷に来ている。
父親が亡くなったのは跡部がこの家にやってきて数ヶ月、一年前の事だ。
侑士がもうすぐ命日だと言っていたなと滝は思い出した。
慈郎は三年前まで東京に住んでいたと向日が言っていたからその間に何かがあったのだ。
「そういえば慈郎のお袋さんっていつ亡くなったんだ?」
「三年前の春って言ってたけど…その時は慈郎東京に住んでたらしいから死に目に会えなかったって」
「ってことは……母親が亡くなってすぐに後妻…だよな? 一応…
後妻が来たって事だろ?慈郎があんな態度だったのも解るんじゃねぇの?」
それから恋愛感情に移り変わったとしても、と宍戸は思ったが滝が首を振り否定する。
「それがこの家に来て最初の頃はかなり仲良かったらしいよ?侑士さんがそう言ってたし。間違いないと思う」
何か気に障ることをしてしまったから嫌われてしまったのかもしれないと淋しそうに笑っていた。
ここのところの慈郎の態度が恋愛感情の裏返しだったにしても、自覚するより以前の態度の裏付けにはならない。
「あー解んねぇー……」
頭が混乱してきた宍戸が大きく頭を掻き毟った。
「まぁ慈郎が自覚して一歩前進ってとこかな。
今まではそれがなかったから結構揶揄して遊んでたけどこれからは気をつけないと」
「どうなるんだろうな…侑士がそう簡単に慈郎の父親を忘れるような気もしねぇし」
宍戸の一言に、跡部と慈郎が張り合う以前の問題だという事を思い出した。
侑士はまだ忘れていないのだろう。
毎日欠かさず仏壇に向き合っている。
線香を上げ何をするわけでもなく、じっと遺影を眺めていたのを何度か見た事がある。
どのような経緯であれ、大家の一員として迎えられたのは亡くした旦那がいたからなのだ。
侑士がどう思っているかは知らないがそれなりに思い入れがあるのだろう。
しかし人の過去の粗探しをしても埒が明かない。
今は状況の移り変わりを傍観するより他無い。
翌日から慈郎の態度は一変した。
一日中縁側で寝転がりぼんやりと空を見つめ過ごしている。
侑士や書生たちが何を話しかけてもただ生返事をするだけだ。
そんな変化に侑士は心配していたが、原因を話す訳にはいかない。
滝はただ大丈夫だよと言うしかなかった。
そして慈郎の変化に最も敏感に反応したのは跡部だった。
恋敵がいよいよ自分の気持ちに向き合い葛藤しているのだ。
何も行動を起こさないはずもない。
跡部は慈郎が縁側に寝転んでいるのを確認すると、垣根を越えて近付いた。
「何」
溜息と共に面倒臭そうに吐き出される言葉に跡部は眉を顰める。
強い日差しを避けるように影になった縁側の隅に腰を下ろし、お互い顔を合わせず広い庭を眺める形で話をする。
「お前、こないだ言った事覚えてるか」
「どの話だよ」
「侑士の事だ」
その名を出すと慈郎は途端に反応を示し、寝転んでいた体を起こした。
顔を見ると無性に腹が立ってまともに話も出来ない。
だから相変わらずお互い顔を背けたままだが。
「お前…あいつの事何か知ってんのか?親父は何も教えてくれなかった」
「まぁな。正攻法じゃないとは解ってたが…気になったから調べさせてもらった。知りたいか?」
そう言って素直に頷く慈郎ではない。
忌々しそうに顔を歪めて返すだけだ。
「心配しなくても金なんて取らねぇぜ?」
揶揄されているのだと気付き、慈郎は再び寝転び目を閉じた。
しかし相手は本気なのか、意外にも真面目な声が降る。
跡部は慈郎の態度など関係なく勝手に語り始めた。
「あいつが大阪から来た事は知ってるよな?」
「……あぁ」
慈郎が聞いている事を確認すると、言葉を続ける。
「………あいつ…新地にいたらしいぜ」
「新地?まさか―――…」
「さぁ、どうだろうな。ただ母親が、ってだけかもしれねぇし…」
「…そっか……」
核心には触れず、二人は頭に浮かぶ最悪の過去を誤魔化した。
「また何か解ったら教えてやるよ」
「まだ調べるつもりかよ」
「好きな奴を知りたいと思うのは当然の事だろ?あいつが口を割るのを待ってたらあっという間に年寄りになっちまうぜ」
過去の一切を話そうとしない事はよくわかっている。
だが勝手に過去を探るのは許せない。
慈郎は跡部を睨み上げた。
「そう睨むなよ。お前の出来ねぇ憎まれ役…引き受けてやるぜ?」
「頼んでねぇ」
「いい子ぶってんじゃねぇよ。死ぬほど気になってるんだろ」
返す言葉がない。
跡部の言う通りだが、それを受け入れるだけの余裕が今の慈郎にはなかった。
それ以降何も言わず、跡部は元来た垣根を越え帰ってしまった。
庭に再び蝉の声だけが響き渡る。
「新地…か…」
大阪で新地と言えばただ一つを示す。
本当に侑士がそこから来たというのならば、導き出される答えが絞られてくる。
まさか、しかし、でも、もしや。
慈郎の中で疑問だけがぐるぐると回り始める。
ふと視界の端に侑士の姿が入ってきた。
庭にある池の上の石橋にしゃがみ込み何かを眺めている。
慈郎は無意識のうちその後姿に近付いていった。
「あ、吃驚した……どないしたん?暑ぅて昼寝もしてられへん?」
池に出来る黒い影に驚き、侑士が振り返る。
逆光で慈郎の表情は見えない。
黙って隣りに座る姿にようやく顔が見えた。
何の感情も映さない無表情を浮かべ、じっと水面を眺めている。
「この子らも暑そうやろ?動きが鈍てなぁ…」
橋の下に出来た影に密集する鯉の群れに餌を撒くが、皆食欲がないのか水面に顔を上げ口を開閉しているだけだ。
慈郎は侑士の手の中にある餌の袋を取り上げた。
驚く侑士を横目に慈郎は餌を撒き始める。
ふわふわと浮いていた餌が池の底に沈んでいく。
それをじっと見つめる慈郎と、そんな慈郎の横顔を見つめる侑士。
会話もないまま時間が過ぎる。
「あのさ……」
「ん?何?」
「……あの…」
「どないしたん?」
やはり何も言えず、慈郎は餌の袋を侑士に押し付けた。
手持ち無沙汰にそわそわと体を揺する慈郎に、侑士が優しく声をかけた。
「な……うちに何か言いたい事あんねんな?」
しばらくじっと水面を見つめた後、黙って頷く。
此間から様子がおかしかったのは、その何か言いたい事、の所為なのだ。
侑士はそれを確認すると、更に声を和らげた。
「ほな…言いたなったらいつでも言うてな?何でも聞くし…慈郎さんが言いたいって思えるようになるまでずっと待ってるから」
こんな心遣いをしてもらうような資格なんてないのに、と慈郎は唇を噛み締めた。
侑士が優しくしてくれればくれるほど、心が苦しくなる。
その程度の言葉で今までの態度の全てが赦されるとは思えない。
だが言わずにはいられなかった。
言いたかった。
慈郎は初めて向き合い、その言葉を口にした。
「今まで…酷い事ばっか言って……ごめんな…」
「…慈郎さん」
素直な謝罪の言葉に酷く驚いた表情で呆然と慈郎を見下ろす。
ただこれが先程の言いたい事ではないだろう、と推測できる。
侑士は慈郎の柔らかい髪を撫でた。
「ええよ。うちはどんな事言われても平気やから…無視されたり喋ってもらえへん方がずっと辛いんや。
どんな些細な事でも喋ってくれたら嬉しいし、癇癪向けられてもええから…
慈郎さんの中でうちの事、無いもんにせんといてな?」
いつもの口先だけの赦しではない、初めて見た侑士の心の奥底だった。
慈郎が黙ったまま頷くのを見ると、侑士は今までで一番嬉しそうな顔を向け笑った。
今なら渡せるかもしれない、と思った。
だがあの櫛は部屋に置いてきてしまっている。
どうしたものかと逡巡しているうちに侑士は餌袋を手に屋敷の中に戻って行ってしまった。
向日が実家から帰ってきて数日。
慈郎はまだあの櫛を侑士に渡せずにいるようだ。
一度固く決心したものの、時機を逃してしまい、また思い悩んでいる。
鼓舞してやろうと向日が隣に向かおうとすれば、滝に止められてしまった。
また何か企んでいるのかと疑ったが、意外にも真面目に慈郎を思う一言に驚かされる。
何か自分の知らない事情があるのかもしれないと向日は素直に滝に従うことにした。
二つの大きな屋敷を遮る垣根には今日も沢山の朝顔が咲いている。
日照りの日が続く。
月が変わりいよいよ夏本番となった。