眩暈〜君の見る夢5

怒らせてしまったか、と思ったが相手は予想遥か上回る行動を起こした。
「俺ばっか…触られんの嫌や…」
「え…?」
「俺も触りたい…蔵ノ介さん触りたい…」
体を起こし、濡れた目でじっと見つめられた白石は身動きができなかった。
呆然と光の動向を見つめていると、着ていた作務衣の中ですでに大きく形を変えていた白石のそこに手を伸ばしてくる。
「ちょっ…光はそんなんせんでええんやで?」
「嫌や…俺だけめっちゃ恥ずかしい思いすんのとかズルイです」
乱れた着物を引っ掛けたまま四つん這いになると光は布越しに白石の中心に触れた。
途端に息を詰めるのはお互い様だった。
「っ…!!」
「お…おっきい……」
直接触れなくとも、目に入らずともその大きさが解るほど。
更に何度も指でなぞるとその度に硬度や大きさを増していく。
「……脱がしてええ…?見たい…蔵ノ介さんの全部」
その様子に好奇心を煽られたのか、光はそんな事を言い出した。
ええよ、と承諾すると嬉しそうに下履きや下着に手をかけゆっくりと下半身を露わにさせていく。
抑え込むものを無くした白石の中心は天井向けて隆々と脈打っている。
「…気持ち悪いか?」
触れる事をためらう姿を見て、怖がらせてしまったか、嫌悪を覚えたのだろうかと不安に思っていると、光は慌てて首を横に振った。
「何か…ずっこい思て……同じ男やのに…」
「そうか?」
「うん…蔵ノ介さんは綺麗でカッコよくて頭もええし…体も、めっちゃ綺麗。細いのに筋肉もちゃんとついとって…がりがりなだけの俺とは大違いや。せやしここも…」
作務衣の前をはだけさせ、体つきを確認するように胸や腹に手を這わせた後、それまで眺めているだけだったが、ついに直接触れられ白石は思わず息を詰めた。
光の冷たい指が体中で一番熱を持った場所に絡められ、そのあまりの気持ちよさに溜息のような声が漏れてしまう。
それは光の耳にも届いたようで、嬉しそうに顔を綻ばせた。
「気持ちええ?」
「ああ…最高やで…」
「よかった…」
初めは掌で扱いていただけだったが、唐突に顔を寄せられ白石が慌てて止めに入るより先に光はその先端を口に含んでしまった。
「…っ…光!?」
「んっ…んっ…はぁっ…」
濡れた音を立てながら口に含もうと必死になっているが、小さな口にそれが入るはずもなく、先端を僅かに咥え込むので精一杯のようだ。
苦しそうに顔を歪める姿に可哀想だという思いと、もっと酷い事をしたいという加虐心の両方が湧き上がる。
もどかしくはあったが流石に喉奥まで突き刺すのは可哀想だと思うが、湧き上がった感情は抑え切れない。
方向を変えて光に与えるか、と白石は口の周りを濡らしながら必死に奉仕している光の口に左手の中指人差し指を突き入れた。
「んぅ?!…ぷはぁっ…くら…のすけさ…?んっっあっ」
「舐めて」
「なん…っ」
驚き体を起こして抗議しようとする口に指を入れ、口内を弄るように動かすと、それすら感じてしまうのか甘い息を吐いた。
指に唾液が絡まり、そろそろいいかと引き抜くと、頭を押さえてもう一度咥えるように促す。
訝ってはいるものの、されるがままに光は再び白石の中心を咥え込んだ。
四つん這いになり、手や舌で白石を昂ぶらせる事に集中している光の尻に手を這わせると、不意打ちのように割目に指を入れた。
「んっっ?!ちょっ……!!」
「光、離さんといてや」
「んくっ…っふぁっ」
顔を引けないように頭を押さえつけると苦しそうに涙を浮かべる。
上半身は上手く動かせないが白石の手を逃れるように腰を引こうとするが、その動きに合わせ追いかける為に逃げる事も叶わない。
耳を塞ぎたくなるような恥ずかしい濡れた音が背後からする為に光の顔がどんどんと赤く燃えていく。
「やぁっ…やめっ…!」
嫌がる言葉とは反比例するようにひくひくと蠢く孔に指を二本三本と突き入れていくと、徐々に我慢ならないと自分から腰を動かし始める。
「はっは…あんっ…あっ…蔵ノ介…さ…はぅっ」
「気持ちええ?」
恥ずかしそうに体を震わせ、勢いよく首を横に振る光の耳元に唇を寄せ、嘘吐きと囁き耳を食んだ。
「んあっっ!」
「気持ちええんやんな?」
嘘を吐いた事を責めるように歯で耳朶を甘噛みにすると観念した光は縦に首を振る。
それを満足気に見下ろすと白石は光の体を引き寄せ、胡坐をかいた膝の上に座らせた。
そして大切な宝物に触れるようにそっと抱き締め深く息を吐いた。
「…くら…のすけ…さん?どないしたんっスか?」
「いや…めっちゃ安心した……こんな事して…嫌われたら…怖がられたら気持ち悪がられたらって思ってたから…」
「あんだけ好きにしといて今更何言うとんねん…」
「せやね」
呆れた声を出しながらも、安心させようと光の腕はそっと白石の背中に回される。
「それに……どんだけの覚悟でここ来た思とんねん…ちょっとやそっとの事で嫌うかっちゅーねんアホ…」
「うん…ありがとうな、光」
「な…早よ……最後までしてや…」
熱に浮かされた光の声に少し落ち着いていた心臓がまた五月蝿い程に高鳴り始める。
「早よ…っ…全部蔵ノ介さんのもんにしてやっ…!」
背中に回った腕に力を込められ、完全に理性の切れた白石は床に光の体を横たわらせた。
絶対に傷付けるまいと思っていた為乱暴にする事はなかったが、それまでの大事に大事に触れていた白石とは別人のように襲い掛かる姿に光は思わず息を飲んだ。
「怖い…?」
「…怖い…けど、大丈夫…蔵ノ介さんやから…大丈夫」
不安げに眉を下げてはいるが、その言葉に偽りはないようで目は真っ直ぐに白石を射抜いている。
それに安心した白石は一度光の額に口付けた後、ゆっくりと光の中へと押し進めていった。
「んんっ…んーっっ!」
「痛いよな…?」
「いた……い…けど、うれし…うれしい…です」
反する言葉のようで、どちらも正直な気持ちのようだ。
涙を浮かべ体が裂けそうな思いをしているはずなのに、光は嬉しそうに笑みを浮かべている。
その健気な様子に白石はなるべく負担をかけないよう殊更にゆっくりと入れていった。
「ぁっ……!」
「全部…入ったで?…っ…解るか?」
「あっあっ…あんっ」
存在を主張するように軽く揺さぶると、甘い声を上げながら光はあっけなく達してしまった。
痛がっていたはずなのにそれ以上に感じるものがあるのだと解り、白石はまだ着物と帯がかかったままの腰を掴むと激しく揺さぶりをかけた。
「んあっ!!やぁっ!いややっっ!やっ…あっ!」
「光…嫌なん?ほんまに…?」
必死に頭を振りながら泣きじゃくる姿はどう見ても快楽に溺れている。
それを見て取れた白石は胸に腹にと光の感じる場所に次々と情痕を残しながら意地悪く尋ねた。
「んっ!やっいやっ…やあっ!いやっ」
「っ…ほな…止めてええ?」
それまでの激しい動きから一変、緩やかに中をえぐる感覚だけでは物足りないと光は懇願するよう視線ですがりついた。
「もっといや…や…」
「わがままやなぁ光…」
「う…っさい…っス…っっそんな俺っ…選んだん…どこのどいつじゃ…っっ」
「さぁ…どこの変わりモンやろな」
こんな状況下でも強気に言える彼が愛しくてならない。
そんな強がりなど言わなくていいよう全力で守りたい。
だが身の内に巣くう魔物のような欲は光をいたぶれと無遠慮に囁くのだ。
白石は先程よりも更に腰の動きを速め、激しい音を立てるほどに光の奥に自らを突き入れた。
「あっああっ!あっ…も…っ!いやっ…いくっ……!イくっっ!」
「まだあかん…よ」
「あぁ!?ちょっ…も、お…いやっいややっ!!離せアホっっっあっあっあ!」
もう辛抱ならないのだとびくびく震える光の熱の根元を指できつく握れば、痙攣するようにその震えが全身に移っていく。
それは後ろの孔も同じで、白石の肉を食む内壁がびりびりと衝撃を伝える。
「っ……一緒にイこな…光っ」
「はっ…早よイけっっこの遅漏っっ…!んあっ!あっ!ふ…ああんっ」
口の悪さはここへきても変わらないが、少し腰を揺すって感じる場所を擦ってやればあっという間に素直な喘ぎとなる。
「はぁ…光っ」
「んっんんっ…!くら…さ……」
何度も名前を呼びながら戒めていた手を離し解放してやる。
その瞬間、体を大きく震わせた。
「あああっっ!!あっ!やぁああああ!!」
「っっく!!」
引きずり込まれるかという程にきつく絞られ、白石は腰を離す間もなく光の中に放ってしまった。
「あっ…ぅあ…んっ」
小刻みに体を震わせ、光自身から放たれた精が腹や着物を汚している。
その光景にたまらない高揚感が白石を襲う。
「光…光好きや……ほんまに…絶対離さんからな」
「ん…あっ……はい…はいっ」
まだ中に埋めたまま抱きしめると、流石に苦しそうな喘ぎを漏らしながらではあるが、しっかりと頷き抱きしめ返してくれた。


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