Home Sick Child2
何度だって言ってやるよ
もうアンタは俺なしじゃ生きていけないってね
やめろ
アンタだって好きなんだろ?
俺のこと
ヤメロ
何言ったって無駄だよ
絶対に逃げられないんだから―――…
やめてくれ―――――っっ!!!
大量にかいた汗と自分の叫び声に目を覚ました。
まただ。またあの夢だ。
荒い息を繰り返し、身を起こした。
辺りはまだ暗闇が支配していて夜明けまでは程遠いようだ。
その時、遠慮がちなノックの音に気付きドアの方へと視線を移した。
キィと乾いた音を立てて扉が開く。
その先にいたのは精市だった。
「蓮二?どうした?…何かうなされてたみたいだけど…悪い夢でも見たのか?」
精市の部屋は隣。
相当大きな声で叫んでいたのだろう。
心配して様子を伺いにきたのだ。
「大丈夫か?」
ゆっくりと近付いてくる影に無意識に体を強張らせてしまう。
この光景は、まるであの日々に戻ってしまったかのようで、悪夢の続きを見ているかのようだった。
しかしその後が違った。
精市は至極優しい仕草で髪を撫でるとベッドに腰掛け、寝かしつけてきたのだ。
「眠れるまでずっと側にいてやるからさ…安心して寝なよ」
「…大丈夫…だから…」
あたかも母親が子供を宥めるかのようなその態度に気恥ずかしさから布団に潜り込み、その手から逃げる。
「いいから。今日は俺が甘やかせる番」
そう言って見せるはにかんだ様な笑顔が酷く心を刺した。
精市は優しい。
ついずるずると甘えてしまいそうになる。
突き放そうとしても、その大きな心で冷えた心を癒してくれる。
だから、ついこうして頼ってしまうのだ。
「お…おい…」
もぞもぞと何を始めるのかと思えば突然ベッドの中に潜り込んできた。
「今日は一緒に寝ようか。手ぇつないでたら怖い夢も見ないって」
「子供じゃないんだ。それに大柄な二人でこのベッドは狭いだろう」
「じゃぁ抱き合って寝る?」
「暑い」
口では毒づいてはいるものの、もう先刻までの恐怖心は消え去っていた。
これも精市の持つ一つの力なのだろう。
ふっと肩の力が抜け、そのまま深い眠りに落ちることが出来たのだった。
【続】