Guilty or Not guilty20

ふと時計見たらもう3時回っててびっくりした。
体離してそろそろ寝よかって言うたら光は寝間着の裾掴んできた。
「何?どないしたん?」
「い…一緒に寝ても……ええですか?」
「へ?!」
何やて?!
聞き間違えたか?!
今都合良く脳ミソで俺好みに台詞変換してしもたんか?!
けど光は照れて顔真っ赤やし、やっぱり間違いやないはずや。
「……やっぱええっスわ」
黙ったまま固まる俺に誤解したんか慌ててベッドから降りようとする光後ろから抱き締めて動き止めさす。
「ストップストップ!ほんまにええん?」
「謙也くんが嫌なんやったら別に…無理にとは言わんけど」
嫌なわけないやろ!!
がっついてるみたいで嫌やから、とりあえず心の中で絶叫。
ただちょっとびっくりして、ほんでちょっと心配なっただけや。
「ええよええよ。一緒に寝よ。けどちょぉ待っててな。俺寝る前にトイレ行っとくわ」
さっきヤったばっかやし、大丈夫やと思いたいけど一応念の為。
うっかりまた襲いかからんように一発抜いとこ。
俺は光のあんなことやらそんなことやら痴態の限りを脳内再生して、トイレで性欲処理してた。
せやけど目ぇ冴えてしもて眠れるか心配やな。
部屋戻ったら光はベッドの上で膝抱えて座ったまんまやった。
「寝よかー」
「あ、うん…」
「何や、また何か考えてたんか?」
ベッドに腰掛けて光の顔覗くけど、すぐ顔逸らして布団に入ってしもた。
どないしたんや思いながら俺も隣に寝転んだ。
光は俺にも布団かけてくれて、ぎゅって抱きついてくれる。
俺は胸に顔埋めるように擦り寄ってくる光の背中撫でてやった。
けど寝る様子もなくもぞもぞ動いてる。
エッチした後疲れてそのまま寝てまう事はあったけど、こうやって何もなしに添い寝する事はなかった。
やっぱ眠りにくいんやろか。
「眠れんのか?」
「…いや、目ぇ冴えてしもたなって思て……」
何や。俺と一緒か。
「ほなもうちょっと話しよか?」
「何の?」
光はもそもそ顔上げてこっち見てくる。
うっ!ヤバイ。
位置的に上目遣いになるもんやから下半身直撃や。
気ぃ逸らさなヤバイヤバイヤバイ。
必死に数式やら英文頭に浮かべて気を紛らわせる。
考える振りして視線外したらちょっと落ち着いてきた。
「えーっと…そやなあ…あ、そうや。聞きたい事あんねんけどな」
「何っスか?」
「俺は横おっても大丈夫なん?」
「は…?」
「せやから、誰か側おったら飛び起きるやん、自分。せやけど俺やったら何で一緒に寝ても大丈夫なんかなーて思て」
光の言う通りやったら千歳でもあかんらしいし、何で俺やったらいけんねやろ。
不思議でしゃーない。
どうなんやろって思て顔覗いたら、難しい顔して考え込んでた。
「…解らん…けど、何やろ………謙也くんは側おってもいけんねんなあ…」
意識せんでええって事か。
やっぱりオカンか。オカンなんか。
けどくっついた光の体は俺に負けんぐらいドキドキ言うとるしなあ。
「あ、どっこも行けへんからかな」
「どこもって?」
「目ぇ覚めた時、いっつも横おってくれるて解ってからは…何や謙也くんの側やったらゆっくり寝れるようになった気ぃしますわ」
誰かと一緒におったのに目ぇ覚めた時おらんようになってる。
光の体験した恐怖は心に深い根張ってんやな。
千歳は普段からふらっとどっか行く癖あったし、光は目ぇ覚めた時一人にせんといてくれなんて自分から言うわけない。
せやから目覚まして千歳が側におらん度に怖い苦しい辛い思いしてたんかもしれん。
俺は光がおんのに離れるのなんか一分一秒惜しい気ぃして離れられへんからな。
そんな貧乏症な考え方が光によかったんかもしれん。
「謙也くん…」
「ん?」
「変な事頼んでええですか…?」
「へ…変な事?」
何言われんや俺。
ドキドキしながら言葉待った。
「あの…こうやって…俺と一緒におる時は………ひ…一人に…せんといてください…」
あ、今の不整脈光に伝わってもぅたかもしれん。
めっちゃ不自然な鼓動打ったで俺の心臓。
せやかて光にこんな可愛いおねだりされる日がくるなんて!!
「当たり前や。ウザいゆうて殴られても離さんから覚悟しときや」
目の前の体力いっぱいに抱きしめた。
ヤバい。感激して泣きそうやねんけど。
せやのに光は回した腕でばんばん背中叩きながらウザいって言いよった。
「おいっ!」
「あ、ほんまや。離せへん」
思わず抱きしめたままツッコミ入れたら、光は嬉しそうに笑った。
変な実験すんなよ。心臓に悪い子や、ほんま。
「目ぇ覚めた時一人にされんの嫌やねんな?」
「……ちっこい子供ちゃうねんからって感じでしょ…」
光は馬鹿にされんちゃうかって、ちょっと照れた感じでぼそぼそ呟く。
「俺はええ思うけど。っちゅーか甘えてくれた方が嬉しいしな」
「そうっスか……ほな遠慮のぅ甘えます…」
「そうしぃ」
よしよしって頭撫でたらまた子供みたいな笑顔見せてくれた。
ひねくれた事言うてみたり口いっぱいに言うたりするけど、やっぱり可愛い。
早よ光の心の重いもん全部無くしてやりたい。
そんでいっつもこんな可愛い笑顔見てたい。
せやから俺はずっと、ずーっと考えてた事を勇気出して口にした。
「光…」
「何?」
今で十分幸せやし、これ以上引っ掻き回すような真似したない。
けど、やっぱりどっか心にわだかまり残したままにしたないんや。
せやから俺は、一度光を突き放す事にした。
「……光…受験終わったらな、いっぺん東京行って千歳に会うてこい」
「え……なん…何で…俺もう…」
「終わってへんやろ、全然。好きやって気持ち薄れても、まだ忘れられへんねやろ?」
光は泣きそうな顔のまんま固まってしもた。
別に傷つける為にこんな事言うてるんやないんやし、そんな顔せんといてほしい。
「怒ってんちゃうで?ただな、お前も…千歳もお互いまだ中途半端に気持ち引きずってんや思うわ」
光は何も答えへん。けど、顔見とったら何言いたいか解るわ。
「せやから今も…千歳と連絡取り合うとんねやろ?」
「な…んで……知ってたんですか?!」
「………今知った」
カマかけたつもりやったんやけどな。やっぱりそうやったんや。
千歳があれ以来俺に連絡せんかったって事は、光にいってたて考えるんが妥当や。
中途半端に気持ちもったまんまでおるんやったら尚更や。
そう思って聞いてみたんやけど光は唇噛んでうつむいてしもた。
ほんでちっさい声ですいませんって言うて抱きついてくる。
「ええよ。千歳に先喧嘩売ったん俺やし…」
俺のまいたトラブルの種拾わされてんや、責められるわけない。
何べんも謝ってくる光の肩抱きしめて頭撫でて気持ち落ち着けさせる。
「ほんま俺最悪や……謙也くんの気持ちに甘えたまんまで千歳先輩と…」
「別に何もないんやろ?」
「当たり前やないですか!……今はアンタ思うんでいっぱいいっぱいやわ」
さりげなく凄い事言うてくれたな。
顔に血ぃ上っていくん自分で解るわ。
「それやったら…千歳に会うて、ほんであいつに預けたまんまの気持ち返してもろて、
ほんでお前が持ったまんまの気持ち返してきたれ。全部清算して楽になり」
どっちつかずのくすぶった思い振り払ったら、きっと楽になれるわ。
例えばそれでもし千歳や光の思いが再燃したとしても、今の俺やったら受け入れられる。
せやし、光を取り戻す自信もある。
絶対諦めへんし、絶対離せへん。
そう伝えたら光は泣きそうな顔のまま頷いてくれた。
「…いっこだけ…お願いしたいんですけど」
「何や?」
「一緒……一緒に行ってもらえませんか?」
「けど…一人でケリ付けた方が…」
「お願いします……俺、一人でなんか…よぉ行かん…誰か……いや、謙也くんに背中押してもらいたい」
光は俺の寝間着掴んで必死になってお願いしますって繰り返す。
「解った。ほな、一緒に卒業旅行やな」
「あ…ありがとう謙也くん」
「その前に受験、頑張るんやで」
明るい表情に戻して何べんもありがとうって言う光のほっぺたつねったら、いつもの小生意気そうな顔して言い張った。
「首席合格したりますわー」
「おー?大きいに出たなー流石は天才財前くーん」
「馬鹿にしてるやろ…入学式見とけや。新入生代表の挨拶して謙也くん吠え面かかしたりますー」
光は仕返しや、と俺のほっぺたつねってくる。
俺はまだまだ先の入学式が急に待ち遠しなった。
その前の大仕事考えるとちょっと気ぃ重いけどな。

デレ光。
デレ光。
デレ光。
大事な事なのでもう一度言うておこう。
デレ光。

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