Guilty or Not guilty13

静かな部屋に光が好きやってゆう洋楽が流れてる。
光にしたら珍しいストリングスの綺麗な曲。
寝る前にかけたんやろか。
っていうか今何時なんや。
枕元に置いてある携帯覗いたらまだ日付が変わったぐらいやった。
「……光ー…」
名前呼びながら隣で眠る光の髪撫でたけど起きる様子はない。
調子乗って抱き寄せたけどやっぱり起きへん。
あーやばい。ほんま可愛い。
ついに光と、って思たら自然と口元緩んできた。
だいぶお預け食らったけど、その分感動も一入やった。
ほんまもう離せへん。
無理。絶対離れられへん。
もう一番とか二番とかどうでもええや。
光が側におってくれたらそれで。
まぁちょっと切ない気ぃするけど、今はここに光がおって、俺に体も心も許してくれただけでええわ。
何べんも頭撫でて前髪上げてそこにキスする。
けどやっぱり起きへん。
無理させたからなあ。
めっちゃ気持ち良さそうな寝顔見てると治まってた熱上がってきそうになってきた。
ヤった後服も着んとそのまま寝てるから直に光の肌が当たるんもまずい。
しかも抱き締めたら無意識に抱き返してきて、その仕草がめっちゃ可愛い。
やばいやばい。
このまんまやと、って思たその時。
いきなり携帯が震え始めて飛び起きそうになった。
音切っててよかった。
俺は光起こさんように携帯持ち上げて画面を見る。
メールかと思たんやけど着信や。
相手は、
「………銀?」
何でや。珍しい。
しかもこんな時間にて、何や急用かもしれん。
せやから出たろ思うんやが、光が思っきし抱きついてて離れてくれへん。
しゃーないから掛け布団引き上げて光の顔にまで被して通話ボタン押した。
「もしもし銀?こんな時間にどないしてん」
声ちっこすぎたんやろか。
返答が無い。
画面見たけどちゃんとまだ繋がってる。
どーゆうこっちゃ、って思いながらもういっぺん耳に当てたら今度はちゃんと向こうの声がした。
けど、思てたもんやなくて心臓口から飛び出そうなぐらいびっくりした。
『…謙也?俺…』
「え…っ……千歳?」
『すまんばい…こぎゃん時間に…』
「いや、それはかまんねんけど…」
何で千歳が、っていうか何で銀の携帯から?
って俺の疑問が電波で届いたんやろか。
千歳から明かしてくれた。
『俺からかけても出てくれんかと思ったけん…銀さんの携帯借りたと』
「あ、そうなん…ほんで、何の用や?」
銀に借りたて、今日は白石んとこ泊まる言うとったのに結局皆で押しかけたんやろか。
……ん?
ちょぉ待てよ。
俺からかけても、ってどういう事やねん。
『さっき…白石に聞いた……お前、今光と付き合ってるて』
反射的に腕ん中の光を抱き寄せた。
頼むから今起きんなよ、そう思いながら。
「…そうやで。お前の事も聞いとる」
『そ…か…ほんなこつ…』
白石言うとったんほんまやってんや。
千歳、ほんまに今の今まで知らんかったんか。
けど今更何言うたかて遅いわ。
「千歳。お前がどない思てんか知らんけど…絶対譲れんからな」
『…え?』
「光は俺のもんや。誰にも渡さん」
無意識に腕に力込めてしもてたんか、光が身じろいで布団から顔出した。
「……謙也さん?」
光のかすれた声に電話の向こうで千歳が言葉失ったんが解った。
俺は携帯顔から離して光の頭抱えるように胸に抱き寄せた。
「すまんな、起こしたか?まだ夜中やから寝ててええよ」
「んー……」
半分夢ん中やったんか、光はまたすぐ眠りに落ちていった。
それ見届けてからもう一回携帯耳に当てた。
電話切られたか思たけどまだ通じとる。
俺は一息入れてから口開いた。
「そういう事やから、切んで」
千歳は何も言わん。
俺もカッコ悪いな。こんな見え見えの牽制するやなんて。
けどそうでもせんと俺はこいつに敵わん気ぃする。
「ほなな、おやすみ」
俺は通話切って電源も落としてロフトの下に向けて携帯放り投げた。
ほんで両手で光を抱き締めた。
力加減せんと胸に顔押さえつけたから、しばらくしたら光が苦しそうにもがき始める。
「うー……苦しいっ…」
「あ、すまん…」
口で謝りながら態度で示せんでぎゅうぎゅう抱き締めたままでおったらどんどん背中叩かれた。
「…苦しいて」
「せやかて離したないんやもん」
「何やねんなそれ」
光は呆れたみたいに笑ってしゃーないなってぎゅーって抱きついてきた。
よかった。
さっきの電話は聞かれてなかったみたいや。
それからまた光の寝息が聞こえ始めるまで、俺はずっと起きたままでおった。



朝、目ぇ覚ましたらもう光は起きてて隣で寝転んでテレビ見とった。
俺が起きたんに気ぃついてないんかじーっと画面から目ぇ離せへん。
「おはよー光」
「おはようさんですー」
返事はするけど背中向けてテレビから目ぇ離そうとせぇへん。
そんなおもろい番組なんか?と思て画面見るけど大しておもんない。
「光ー」
「うわっ重っ」
のしかかるみたいに体ぎゅってしたら文句垂れられた。
けど顔赤いな。
そう思て顔覗きこもうとしたら枕に顔沈めてしもた。
「光?光くーん?」
まだ裸の肩持ってゆさゆさしたら払いのけられた。
「あーもぉうるさい!空気読めや!」
何や、照れとんか。
可愛いわーほんま。
「光ーひーかーるー」
「何なんっスか!」
構わんと何べんも呼んだらやっとこっち向いてくれた。
恨めしそうに睨んでるけどまだほっぺた赤い。
照れ隠しなん丸解りや。
「腹減れへん?」
「はあ?性欲の次は食欲っスか?」
「俺は別に朝から光でもかまへんよ?」
「かなわんな…朝から盛らんといて下さいよ」
溜息混じりに言うとるけど昨日の事思い出したんか強い抵抗はせんかった。
うっかりこのまんまヤってまいそうなるけど、光にこれ以上負担かけたないから必死に堪えた。
時々しんどそうに腰押さえてるし痛いんやろな。
今謝っても謝るぐらいやったらもうさせへん言われそうやし、俺は黙って甘やかすを選択した。
「ほな朝飯にしよ。俺作ったるわ」
「謙也さん料理なんか出来るん…腹壊したないで俺」
「アホか、パンと目玉焼き焼くぐらい出来るっちゅーねん!」
「はいはい、わかったわかった」
光は顔しかめながら起き上がって脱ぎ捨ててある、っていうか俺が脱がしたシャツ取って羽織った。
そんでベッドから立ち上がろうとすんやけど腰砕けるようにへたり込んだ。
「光?!いけるか?」
「いけるわけあるかぃ!!どアホ!ボケ!カス!ほんま手加減なしにやりよって…死ね!」
光が大変なんは解ってる。
解ってんやけど、あかん。無理。可愛すぎる。
思わず飛びかかってしもたら思っくそ殴られた。
「シャワー浴びてくるから朝飯用意しとけ!!」
そう言い残して光は脱いだ服かき集めてよろよろ這うように下に降りていった。
「手伝うたろかー?」
「いらんわ!」
真下にあるドアばぁーん閉めて光はシャワー室にこもってしもた。
俺は光の命令遂行する為に服着て下に降りた。
ふと部屋の端っこに目ぇやったら電池の外れた携帯が見える。
投げた衝撃で取れたんやな。
それ拾い上げて電池入れて電源つける。
途端にメール受信した。
ドキッとした。千歳からか思たけど、白石からやった。
けど案の定というか、あんま心臓には良ぅないもんやった。
『お前意外と鬼畜やねんな   千歳、予定変更して今から東京戻るから皆で見送りに行ってくるわ』
受信したんは9時20分。
今は11時3分。
もうこっち離れたて事か。
何となくホッとして返信もせんとそのまま携帯ソファに放り投げた。
昨日の事、千歳は白石に話したんや。
けどああでもせんと俺の気ぃ済まんかった。
千歳の気持ちも光の気持ちも無視して最低やな、俺。
それでも、でもやっぱり、あれは紛れもない本心やった。
光は俺の大事な宝もんなんや。
絶対誰にも渡さん。

何か言うてくるかと思たけど、しばらくしてからも千歳からの連絡はなかった。
せやけど逆にその事で確信した。
千歳はまだ光を忘れてへんねやと。

朝チュン…じゃねえな。夜ホー?でごめんなさいね。
連載前に年齢制限入れてなかったのでエロシーンは丸々カット。
別に置いてあります。
あと書いてから「ん?」って思ったんやが…銀さんって……携帯持ってるん?
ああでも、地元離れて心配やろうし親御さんが持たせてるよ、きっと。
もしくは銀さん高校デビューでもおもろいかも。

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