総評→赤也という名前は卑猥。
あかや。
うむ。エロい。
柳さんが言うと余計に。ひらがな読みになると、更に。
前にあった赤柳チャットで『"あかや"って全部開口音だから〜』みたいな話になった事を思い出しました。
あ、柳さんのちnこ縛ってたものは【結束/機】【しめ/しめ】で検索するとヒットします。
結構大変なもので縛りましたね、赤也は。
うちにあるのを見つけて、赤也の如く「これだ」と思って使ってみた。
うーんエロはまだまだ甘いかなぁ……続きはもっとがんばる(柳さんが)
サクリファイスメモリー
Side;A
脳ミソが沸騰しそうで、心も体もドロドロになりそうな程に興奮しているのは俺だけなんだろうか。
目の前にある白い体を抱くたびに思っていた。
柳さんはセックスの最中でも普段と大して変わらない表情で、少しだけ頬を紅潮させて喉の奥で押し殺した声を時々漏らす。
そんな様子に、何だよ、気持ちよくないのかって思ってたのは最初のうちだけ。
俺は垣間見たのだ。この人の中にあるとんでもなくイヤらしい心を。
恥かしいのはお互い様だ。
俺だって素っ裸になってこの人の前でみっともねえぐらい感じてる姿見せてるんだから。
なのに柳さんは恥かしい、みっともない、嫌だ、嫌だ、止めてくれ、ってそればっかり。
本当は感じまくって気持ちよくて死にそうなぐらいなのに、それを絶対に表に出そうとしない。
引き出してやる。
今日は絶対に最後まで許してやるつもりはない。
いつもはある程度までいっちゃうと手加減してしまう。
ちょっと焦らして本心聞き出してやろうって思ってるんだけど、
大抵家には親がいるからあんまり大きい声出せないってのもあるし、見つかったらっていう焦りもある。
だから嫌だもう止めてくれと泣きそうな声で言われると許してしまう。
それ以上の事ができないでいた。
でも今日は違う。
親父は海外出張、お袋と姉貴はその隙狙って買物ツアーだと海外旅行に行ってしまった。
俺は部活も学校も休めないからって事で留守番。
少なくとも来週末まで誰も帰って来ない。
俺は是幸いと、カレンダーの並びのおかげで連休になった週末に柳さんを誘った。
家族が誰もいないから泊まりに来いと。
あからさまな誘いに多少難色を示すか、と思ったけどあっさりと承諾してくれた。
柳さんはもう部活を引退していてある程度時間にゆとりがある。
でも部を引き継いだ俺はそうもいかないので、なかなか会う時間がなかった。
そんな数週間を挟んでいたもんだから、久々に赤也とゆっくりできるな、なんて呑気な事を言ってノコノコとやってきた。
家に着いて玄関に入り、早速とばかりに後ろから抱きしめてやる。
びくりと肩を揺らして過剰反応する柳さんの背中に顔を埋め、耳ではなく皮膚を介して声を伝える。
「今日…どういうつもりで来たんっスか?」
「………言っている意味が解らないな」
「あ、そ」
言葉の最初に出来た妙な間が本心だ。
でもやっぱり言葉にするつもりはないらしい。
なら引き摺り出してやるだけだ。
俺は戸締りをするとリビングには行かず、柳さんの手を掴んで真っ直ぐに自分の部屋に向かった。
階段を上る間、あまりの勢いに柳さんは何度か躓いて、その度に止めろだの何をするだの、五月蝿い事この上ない。
俺は部屋に入るなり柳さんを壁際にあるベッド目がけて突き飛ばした。
ばふっとベッドに転がると勢いでガツッって結構な音を立てて壁に当たっちゃった。
大丈夫かな。
打ち付けた肩を押さえて低く唸っている。
相当痛そうだけどお陰で完全に動きを封じる事ができた。
「何をする」
こんな風にされてもまだ声は冷静で怪我をしそうになった事に対しても微塵の動揺も感じない。
面白くないなあ。
この人が動揺したりしてるとこ見てみたいんだけど。
いつも涼しげな顔ばっかしてて、まあ時々不機嫌になったり上機嫌だったりっていうちょっとした表情の変化みたいなのは解るようにはなった。
でも俺は感情むき出しにして欲望丸出しの顔を見たいのだ。
だってこの人のそんな姿、他では絶対見られない。
俺だけが見れるかと思うとゾクゾクする。
見下ろすとまだ痛むのか肩を擦っている。
しかしじろりと睨み上げる目の縁が赤い。
もしかしてこの先を予測して期待してるんだろうか。
まあそれは俺の勝手な希望だけど。
でもいつもより呼吸が荒いような気がする。
それは痛みで?それとも興奮してる?
「あ…っ!!」
不意打ちのように一瞬気を抜いた隙に体をベッドに押し付ける。
可哀想だから打ち付けた左の肩は押さえないであげる。
優しいな、俺。
なのに柳さんは予想を上回る動きで抵抗してきた。
「赤也待てっ!!」
犬じゃないんだから待てはないでしょ、待ては。
「何?」
でも俺は犬より利口だからちゃんと言う事は聞いてあげる。
覆いかぶさっていた体をゆっくり起こして見下ろす。
「…今日明日は…ゆっくりできるのだろう?」
「だから?」
「そんなにがっつくな」
さっき一瞬見せた動揺はあっという間に消えてしまっていて、冷静に諭されてしまった。
何かムカつく。
「じゃあ何したいんっスか?他に何かしたい事あるんっスか?」
「それは…」
他に、と改めて言われて何も考えていなかったんだろう。
柳さんは黙り込んでしまった。
「やりたい事ないんでしょ?じゃあ俺のやりたい事させてよ」
「まっ待てっ!だからっ…ここ数週間…会えなかった間の話などを」
「別に今更取り立てて言う事なんてないっスよ。フツーに学校行って授業受けて部活に出て帰って寝る。次の日も同じ。以上!」
一気に言うと呆気に取られたように柳さんは口をぱくぱくさせた。
何も言う事が見つからないみたいだから、今のうちにさっさと先に進める。
ベッドに背中を押し付けてネクタイを外そうと思って手をかけた途端、柳さんは再び抵抗を始めた。
体格差があるから本気で暴れられたら敵わない。
パワーは俺の方があるけどこの長い手足でバタバタされたら抑えきれない。
俺は脱いだブレザーでとりあえず柳さんの腕を頭の上で拘束した。
「赤也!本気で怒るぞ!!」
「怒ればー?」
それこそ本望だ。
俺はアンタの心の底が見たいんだよ。
たとえそれが怒りでもいい。
全部見てみたい。全部知りたい。
それで今は、欲望丸出しのエロい顔が見たい。
馬乗りになって足の動きを封じて、やっと柳さんは抵抗を止めてくれた。
でも非難するようにきつく睨んでくる。
「んあっっ!」
わざと股間の上に体をずらしてケツで刺激してやると、鋭い視線があっという間に潤んだ。
こんな触れるかどうかってぐらいの微妙な動きにすら過剰に反応するぐらい快楽に弱いくせに、絶対それを表に出そうとしないんだから、
頑固っていうか可愛げがないっていうか。
「あっ…あか…やめっ…」
「何?怒るんじゃないの?」
「動くなっ…そこで…んっ」
体よじって何とか逃れようとしてるけど、その度に俺のケツが当たるみたいで余計に感じるみたいだ。
柳さんはもぞもぞと自分のいいように動き始める。
人の体で勝手にヤられるのはごめんなので俺はそっと体を離した。
「あっ」
物欲しそうな顔で見上げてくるのがおかしくて、俺は思わず笑ってしまった。
「何だよ。嫌だったんでしょ?」
ぐうって喉を鳴らして黙り込んでしまった。
面白くない。
ここで止めないで、もっとやってくれってねだってくれれば俺だってこれ以上するつもりしてなかったのに。
俺は今日の為に色々用意していた。
最近の100円ショップって何でも売ってんだなあって感心しながら色々買ってきた。
柳さんの理性の仮面を引っぺがす為の道具を。
「ねっ!柳さん」
「な…何だ」
次は何をされるんだ、って身を硬くする柳さんが妙に可愛く見える。
何だ、こんな表情もできるんじゃないか。
可愛い。柳さん可愛い。
だから、
「指輪あげるね。俺からのプレゼント」
「…何?」
俺は100円ショップの袋から指輪を取り出す。
でもただの指輪じゃない。
少しサイズの大きな指輪を接着剤で二つつなげたもの。
俺は柳さんを抱き起こすとブレザーで拘束した腕を解いて、今度は後ろ手にもってきた。
そして掌を合わせるようにして両手の親指にその指輪をはめる。
「なっ…!!」
漫画に載ってた殺人トリックの真似をしたもの。
こんなので本当に動き封じれんのかよって思ってたけど柳さんは後ろ手になったまま身動きが出来ず、バランスを崩してベッドに転がってしまった。
「赤也っ外してくれっ!!」
「あー動くとさっき痛めた肩、ヤバいっスよ」
「こうさせているのはっ…お前だろうっっ」
それもそうか。
体勢が辛そうだからうつ伏せにしてやろうかと思ったけど、それだと顔が見れないから止めておく。
枕とクッションを背中にかませて柳さんの体を少し起こしてあげると、肩の痛みが少し楽になったのか、ほっと息を吐いた。
だからってこれで終わるわけじゃない。
俺は気の抜けた隙を突いて柳さんのシャツのボタンを外しにかかった。
一つずつ外す毎に柳さんは意識がこちらに戻ってくる。
「赤也っ!赤也…っ」
抗議の声を無視してボタンを全部外し、出てきた肌に思わず喉が鳴った。
流石に日の下に出てる部分は多少焼けてるけど、普段服の下にある肌は真っ白だ。
初めて見た時は大興奮した。そして何度見ても興奮してしまう。
美術の教科書に載ってた大理石の像みたい。
さらさらできめ細かくて触ったらひんやり冷たくて、余計に作り物のように感じる。
俺は平均より体温が高いから、その手で触ったら掌の形に溶けちまうんじゃないかって心配になった。
でも実際は触れた部分からだんだん体温が上がって白かった肌が汗ばんでほんのりピンクがかる。
自分の手で柳さんの体が変化するのが楽しくて嬉しくて仕方ない。
わき腹をくすぐるように触ると、柳さんは逃げるように体をよじる。
「んっんっ」
もう抵抗する気持ちは削がれたのか、押し殺した声を上げ始めた。
俺はもっと奥にある感情を引きずり出してやろうと、胸の中心で一番あったかそうな赤に噛り付いた。
「んあっ!!」
俺とヤるようになって乳首だけでこんだけ感じるようになったくせに、また唇噛んで声を殺そうとする。
顔真っ赤にして一生懸命声を飲み込んでいる。
今日は誰に聞かれる心配もないのに。
「柳さん声聞かせて?」
「いっ…嫌だっ…!もう止めてくれっ」
いつもならこれが待ての合図になるけど、今日はダメ。許してやんない。
そんな思いを込めてしつこくくりくりと乳首弄繰り回してたら、柳さんははあはあと肩を揺らしながら力を抜いた。
やっと観念したかのか。
「赤也…もぅ…抵抗せん……だから…外してくれ…こんなやり方は…嫌だ」
「えーっだってフツーにやったってアンタ気持ちよくないんでしょ?」
「…何っ?」
「全然声上げねえし、ヤダヤダばっかでさー…」
「その…お前とこういう行為をする事が…嫌なわけではない」
行為って、セックスの事だよな…ハッキリ言えばいいのに。
照れて遠まわしに言って余計恥かしい思いしてんじゃないか。
「じゃあ何っスか」
「もっと…普通に出来ないのか?」
「フツーにやってもイヤがってんだし、だからこうやって色々試してんじゃん」
アンタに気持ちよくイってもらう為だよって耳元で囁いて、そのまま耳の中に舌をねじ込む。
「あああっっ!あんっ!」
不意打ちを食らっていきなり大声で喘ぐからびっくりした。
今までこんな大きな声出した事なかったのに、やっぱいつもと違うから興奮してんのかな。
俺はもっとこんな声が聞きたくなった。
心臓突き刺すような、股間にダイレクトに響くようなすげー声。
耳朶を唇で食んでいると、完全に力が抜け切ったように柳さんがくたっともたれかかってくる。
可愛い。いつもこんな風に素直に感じてくれればいいのに。
そう思ったのも束の間、俺が抱き締める腕の力を抜いた瞬間再び抵抗を始めた。
「ちょっ…暴れんなよ!」
こうなりゃ強行。
さっさとドロドロに感じさせた方がよさそうだ。
俺は柳さんの制服のズボンに手をかけると一気に引き摺り下ろした。
もうパンツにまで染みが出来るほど柳さんの股間は変化している。
「なーんだ…感じてんじゃないっスか」
「うぅ…っん」
布の上から指で撫でてやると足をもじもじとすり合わせて腰をくねらせる。
中途半端に触られるのが我慢できないんだろう。
言葉や態度と裏腹にほんと敏感だよなー…
「気持ちいい?」
顔を覗きこんで聞くと、柳さんは勢いよく首を横に振った。
「なんだ、まだ足りないんっスか?直接触って欲しい?」
「そっ…そうではないっ…」
「違うんだ…ふーん……」
冷たく言ってみるけど、これはポーズ、柳さんが否定してくる事なんかお見通しだった。
俺は指先を引っかけてパンツも脱がせる。
指輪で拘束している所為でシャツは脱げないし、靴下ははいたままという中途半端な恰好がえらく卑猥に見える。
ヤバッ…何か変な気分だ。
「あ……赤…也?」
見下ろしたままじーっと何もしない俺に不安になったのか、伺うように柳さんが口を開く。
さてどうしよう。
ちらりと視界の端に袋を確認して、いい事を思いついた。
「…直接触ってほしくないんなら、こっちで気持ちよくなるしかないよね」
大きく足を開かせて、足の間に体を入れて閉じられなくしてから柳さんの尻の割れ目に指を這わせた。
「ひっっ」
「前、触ってほしくないんでしょ?」
体が動くたびにぷるぷる震える柳さんのチンコには触らないようにして、ローションで濡らした指で孔の周囲をくすぐるように動かす。
「んっ!あっ!」
しばらく微妙な動きを繰り返していると、孔が勝手に指を飲み込もうとする。
柳さんの呼吸に合わせるようにひくひく開け閉めを始めて、ああ後ろで感じ始めてるな、と俺はニヤリと笑った。
「あか…やっ…んうっぅ」
早く次の段階に行けってねだるように視線を送ってくるけど、全部受け流す。
折角買ってきたんだし、使いたいものがあるんだよな。
「もっと奥まで入れて欲しい?」
頷いてくれるとは思ってなかったけど、顔真っ赤にしてぷいっと視線を外したので確信する。
焦れてるんだ。もっと決定的な刺激が欲しいんだ。
俺は指を離すと、それを袋から取り出した。
「最近の百均って何でも売ってるんっスねー」
「な…にを」
俺の手の中にある物が何か理解出来てないんだろう。
怯えたような目の柳さんが俺をますます興奮させる。
「マッサージ棒だって」
俺は丁度太めの油性ペンぐらいの大きさのそれを柳さんに見せ付けた。
電池式で振動を送るそれ。
流石にアダルトショップになんて行けないからおもちゃとか買えないけど、これで充分楽しめるはずだ。
一瞬の間をおいて、何をされるか理解した柳さんは緩慢な動きで抵抗を始める。
でももう完全に火のついた状態になった体では無意味で、俺の体の下でもぞもぞと動くだけにとどまった。
「ほんとは俺の入れてあげたいんだけどねーまだその気になんないから、先にこれで遊んでよ」
「なっ…!!やめっ…」
安物だし防水加工なんてされてないだろうし、そもそもこういう事に使う為に作られてるわけじゃないから柳さんの中で壊れられたら困る。
そう思って棒にゴムを被せてからローションを塗りたくり、柳さんの孔に押し付けた。
「あっ!!嫌だっっ!そんな物ッ…!!っっああああああ!!!」
入れないでくれ、って声は途中で嬌声に消えてしまった。
この人がこんなに声上げるのなんて初めてだ。
まだスイッチ入ってない状態でこんなにあんあん言ってるんだし、振動始めたらどうなるんだろう。
俺は好奇心のまま孔から出ている部分にあるスイッチに指をかけ、力を込めた。
カチッという安い音と同時に物凄いモーター音が響き始める。
そして、
「ああああああああああんんっっ!!んっ!やあっっ」
それに呼応して柳さんのすげー声が上がった。
甲高くひっくり返って、喉に負担が一気にかかった所為で変に掠れて、それが余計にエロく感じた。
首を振って必死に声を堪えようとしている。
でも一定リズムで刺激されて、それが中で気持ちいい場所に当たる度、声が出る。
もっといい声が聞きたい。
それまでは柳さんの腰の揺れだけで動いていた棒を、意思を持って動かしてやる。
「ひあっ!ああっ!あか…あかやぁぅっっんんっ!」
大袈裟だろうってぐらいびくびく体を震わせて、時々俺を呼びながら喘ぐ柳さんの痴態は、俺の欲望にも火をつけた。
ヤりたい、中に入れたいって欲望以上に、もっといたぶってやりたいという欲望が顔を覗かせる。
これからどうしようかなって考えていると、柳さんが今にも泣きそうな声で訴えてきた。
「いや…だ…っ!」
「何が?」
「こん…な物で……イきたくな…」
それは暗に俺のを入れて欲しいって意味なんだろうか。
それともこんなモン入れられてプライドが、って事なんだろうか。
たぶん後者だろうな。
確信してるけど、俺はあえて聞く。
この後の為に。
「それって俺ので突いて欲しいって言ってんの?」
柳さんが驚いたように目を見開き、勢いよく横方向に首を振る。
やっぱりね。
でもいい感じに誘導できたかもしれない。
俺はさっきから視界の端にあったある物が使いたかったのだ。
それは柳さんを呼ぶ為に部屋を掃除した時に使ったもの。
積み上がった雑誌を整理する為に親父の工具箱から拝借してきた結束機。
プラスチック製のヒモとクリップがセットになった機械で、
機械の先に出た輪っかに雑誌とか新聞の束をかけて、ぎゅーっと縛った後ボタン一つでクリップがかかって固定できる優れもの。
昨日雑誌の束を縛りながら便利だなーなんて思って使ってたけど、こういうやり方もありかもしれない。
俺は一旦体を離して部屋の隅に置きっぱなしにしていた結束機を持ってきた。
手の中にある物を見て、ぽかんと口を開ける柳さんが可愛く見える。
この人がこんな風に考えている事をそのまま表情にするなんて珍しいにも程がある。
「な…何を……」
「あれ」
最初、これが何するものか解ってなかったみたいだから俺は部屋の隅に積み上げてある雑誌を指差した。
交差するようにかかる細い透明のヒモと、機械に入っているヒモが同じ物だと気付いて青くなった。
「やっ!」
「だってイきたくないんでしょ?じゃあちゃんと抑えとかないと。アンタ感じやすいんだからすぐイっちゃうっしょ?」
「止めろ!!馬鹿っっ!」
バカは心外だ。
折角いいアイデアだと思って提案してあげたのに。
「暴れると余計食い込みますよ?」
恐怖で若干縮んだものの、まだ立ち上がった状態の柳さんのモノにヒモを引っかけると、思い切り引っ張って根元を縛った。
「うあああああああああああああああああああ!!!!」
パチン、とヒモを切ってクリップをかける小気味よい音は柳さんの悲鳴に消えてしまった。
このまま萎えてしまうとたぶんこのヒモは取れてしまう。
布とかなら水気含むとどんどん食い込むだろうけど、残念ながらこれはプラスチック製。
ローションでつるっと抜けてしまうかもしれない。
俺は結束機を放り出すと、後ろに突っ込んだままだった棒を動かすことを再開した。
「あっ!ああっ!」
「よかったっスね。これでイけないですよ」
にっこり笑って言うと、柳さんは睨んできた。
でも口から出るのは文句じゃなくて喘ぎ、視線も虚ろでちっとも鋭くない。
「やあっ!あかやっ…痛いっいた…っっ」
こんな風にされても、いや、こんな風にされてるからだ。
いつもより感じ方が派手だ。
声もそうだけど、動きが。
腰はもっともっととねだるみたいに揺れてる。
この人がこんな風に自分から腰を振るところなんて初めて見た。
いつもは俺にされるがままなのに。
やっぱりこの人の本性はこんななんだ。
興味なさそうにして、ほんとは淫乱でやらしい事大好きなんだ。
やっと心の底が見え始めてきて、ニヤッと笑ってると、非難するような視線で射抜かれる。
「痛いっ!っっ外してったのむ…からっ」
「そりゃ痛いっスよ。こんなガッチガチに大きくしてんだから。ああ、そうだ。もうちょっと萎えたら楽になりますよ?」
「そんなっ……」
もっと可愛くおねだりとかしてくれたらなあ…こんだけ乱れてるくせに、お堅く「頼む」とか言われても。
でも痛い痛いって言ってる割には全然萎える様子がない。
むしろ興奮して悦んでるようにも見える。
何だ、痛いの好きなんだろうか?
棒をより奥に突っ込んで、柳さんの一番感じる場所を抉ると体が跳ね上がった。
「ああああっあっ!んんっんっ…いたぁ……いっ」
甘くなった声に確信した。
この人、痛くされるのも好きなんだ。
心では否定してるんだろうけど体は勝手に反応してる。
それが証拠にだらだらと先走りが出てきだした。
拘束が解けたらその瞬間に精液吹き出しそうな勢いだな。
上半身の身動きが取れない分、腰から下の動きがだんだんと激しくなってくる。
足をだらしなく広げたまま、突き出すように腰を揺り動かす。
それに合わせて奥を突いてやると、爪先がひくひくと痙攣を始めた。
もうすぐ。もうすぐだ。
もうすぐきっと…
「あっ…イきた…いっ」
陥落する、あと少しでこの人は。
「何だよ、さっきはイきたくないって言ってたじゃないっスか」
「んんっ…や…だ…もう……っっ」
「一体どっちなんっスか」
呆れたように言うと、ついに仮面がはがれ始めた。
「イきたいっ!!イかせてくれっっ!」
でもまだダメだ。
何で可愛くイかせて?って疑問形じゃなくて断定の命令形なんだよ、この状況で。
つまんない、と見下ろしてると、ふと指先にあった振動が緩くなってきたのに気付く。
「あーあ…もう電池切れちゃった……やっぱ安モンっスね」
完全に動きの止まった棒を勢いよく引き抜くと、柳さんは大きく体を震わせてた。
とろんとした目で荒い息を繰り返し、小さく喘ぎながらイきたいと呟いている。
助けを求めるように見上げてくる柳さんが妙に幼く見えるのは気のせいだろうか。
何かこう胸の奥がきゅんとする。
今この人をどうするのも俺次第なんだ。
このまま拘束解いて、意地悪してごめんねって優しく抱くのも、
まだまだこれからが本番だって他に色々するのも。
次はどうしよう。
逸る心を抑えながら考えていると、窓の外で物音がして、続けてインターホンが鳴った。
俺は縋るように見つめる柳さんを放って、部屋にある子機を取った。
つまんねえ訪問販売だとか新聞の勧誘だったら殺す。
折角盛り上がってきたところを水差すんじゃねえ。
そう思ってたけど、相手は隣人だった。
親がいない間一人で大丈夫なのか、と心配して来てくれたらしい。
余計なお世話だって思ったけど、このまま柳さん放置したらどうするんだろうって興味が湧いてきたから玄関に出て応対する事にした。
柳さんの痴態見てた所為で多少股間が心許無い状態だけど、丈の長い大きめのパーカーを羽織って誤魔化す。
隣に住む世話焼きのオバチャンは、わざわざ差し入れだって夕飯を持って来てくれた。
俺はいつも見せてる愛想のいい笑いで追い返し、貰ったおかずを冷蔵庫に片付けると急いで部屋に戻った。
あんな状態で一人放っておかれて何やってるんだろ。
ドアを開けるとベッドの上の柳さんが真っ先に目に入ってきた。
でもさっきと状況が変わってる。
俺が出て行く時は寝転がってたのに、今はベッドの縁に座ってる。
何故か指の拘束が外れちゃってて、泣きながら必死にチンコ縛ったヒモを外そうとしてる。
よく見たら床に指輪が二つ転がってる。
接着剤が取れたんだな。
それで拘束外れたから自分でヒモを解こうとしてるんだ。
でも焦りと、自分の触るたび腰を焼くような感覚がくるんだろう、震える指では上手く外せないでいた。
「あーあ…ダメじゃないっスか。外したら」
「やっ…!!あかやっ」
両手首掴んで動きを封じると、ほとんど力の入ってない体をくねらせて抵抗してきた。
「まだ一人でヤりたい?」
「ちがっ…」
遠目では一人で擦ってるように見えた事をからかってやると、顔を真っ赤にして否定した。
「いいよ、一人でしたいんなら。俺ここで見てるし」
「違うっっ!いや…いやだ…っお前に…っっ」
「俺?俺にしてほしいの?」
1秒、2秒、3秒。
じっと見つめると、ようやく諦めたように頷いた。
恥ずかしさでぶるぶる震えながら視線落として、目元も首も真っ赤にして。
さっきみたいに油断した途端また暴れだすかと思ったけど、柳さんは完全に力を抜いてもたれかかってきた。
可愛い。
いつもこんな風に素直でいてくれればいいのに。
俺は涙でぐちゃぐちゃになった頬にキスした。
柳さんはほっとしたように表情を緩めて、嬉しそうにしてる。
髪や頬や耳にキスしながら汗や体液で汚れたシャツや靴下を脱がせて、完全に素っ裸にした。
それで今度は唇に、って思って寸止めした。
「あかや…?」
受け入れ態勢になっていたのに、降ってこないキスに不思議そうに目を開く。
無意識なんだ…俺はニヤけそうな顔を必死にこらえてわざと冷たく見下ろして柳さんの手を押さえた。
「…俺にしてほしいって言ったくせに一人遊び?」
「え…?あっっ」
我慢できなかったのか、気が緩んだからか、柳さんは無意識のうちに自分のモノを両手で擦るように手を添えていた。
自分でも気付いていなかった所為で、びっくりしたように手を離そうとしたけど許さないと押さえつける。
「んあっ!」
「ほら、自分でするんでしょ?俺いらないんっスよね?」
「やっ!ちがっ…んんっ」
「ほら、ここがアンタの一番感じるとこ。触んなよ」
掌に手を添えて、先の割れ目にぐっと力を込めてやると体が跳ね上がった。
「あああっっ!いやだっっっうあ!!嫌だあかやぁっ」
「やっぱり俺にしてほしい?」
意地悪く耳元で囁くと首が取れそうなぐらい縦に振る。
よっぽど辛いんだ。
でも許してやんないよ。
俺はさっき放り出した結束機を再び持ち出す。
「じゃあもう自分の手でしないようにしとこうね」
「え…?な…にを…」
「ちゃんと縛っとかないとアンタ一人でおっ始めそうなんだもん」
「ああっっ!しないっっ!!もうしないからっっ!!」
柳さんの抗議の声なんて無視して、俺は再び後ろ手にさせると手首を思いっきり縛った。
今度はさっきみたいに外れる事はないだろう。
拘束された所為でまた動きが封じされた柳さんは軽く肩を押しただけで簡単にベッドに倒れこんでしまった。
横向きになって、顔だけシーツに押し付けている。
微かに震えてるけど、もしかして泣いてるのか?
部屋の隅に向けて結束機を放り投げ、ベッドに腰掛けて見下ろすと、もぞもぞと柳さんが動いた。
やっぱり泣いているみたいだ。
さっきのキスで止まったはずの涙がぼろぼろ零れてる。
ああ泣き顔も綺麗だな、って思って見つめてたら、信じられない言葉が聞こえてきた。
「こんな…事……する、お前は…嫌…だ…」
「え?」
「こんな…お前は…嫌いっっだっっ…」
一瞬すっと血の気が引いて、その後すぐにがーっと体中の血が沸騰した。
「…何だよそれ」
確かに今日の俺は調子乗って色々やっちゃってるけど。
でもどれも全部俺なのに。
怒ってるってわけじゃない。どっちかっていうと、悲しい。
この人の中でいつもの俺と今の俺を線引きされた事が、凄くショックだった。
こういう事されるのがイヤだって言われるのは理解できるけど、俺が嫌いだって言われたのが。
柳さんの中ではこんな俺は俺じゃないんだ。
「あ…あかや?」
黙り込んだ俺に伺いたてるように言う姿が白々しく感じる。
「俺の事嫌いなんだ」
「違うっ…!」
「何が?何が違うの?さっきアンタそう言ったじゃないっスか」
「こんな事を平気でできる事が…っ」
ベッドから体を起こそうと必死になって動く柳さんから顔を逸らした時、窓に映る自分の姿が見えた。
真っ赤な目をしてる。
試合中に時々なる現象だ。
「アンタん中では好きな俺と嫌いな俺がいるんだ」
「…それはっ」
「俺はどんな柳さんも好きなのに」
普段の涼しい顔した冷静な柳さんも、今みたいに顔真っ赤にしてエロい柳さんも。
たとえ俺の事怒ってても、憎たらしい口きいてても、全部好きなのに。
「アンタも他の奴らと一緒なんっスね。赤目でブチ切れた俺は別人なんだ」
「違う違うっっ」
「俺、アンタならどんな俺でも受け止めてくれるって勘違いしてたや」
「勘違いなんかじゃ…っっ」
形振り構わない様子に、さっきまで感じていた悲しさは吹っ飛んだ。
全身全霊で失言を否定して、必死になって縋り付いてくる柳さんが愛しく感じてくる。
でも俺だってショックだったんだ。
もう少しいたぶってやれよって俺の中の赤目の俺が囁く。
それに耳を貸して、一生懸命擦り寄ってくる柳さんを突き飛ばして立ち上がった。
「触んないでくれる?こんな俺の事嫌いなんでしょ?」
仰向けになった拍子に見えた柳さんの股間は、すっかり鎮火してしまったように萎えていて、
さっきまで真っ赤に充血して痛そうだったけど今は根元に引っかかってるだけの状態だ。
でも外れないみたいだからこのままにしておこう。
俺はベッドを離れてテレビの前に置いてあるフロアチェアに座った。
わざと背中を向けてカバンに入れっぱなしにしてあったDSを取り出して電源を入れる。
もう何もしてやらないって態度を取ると、背後から赤也って泣きそうな声が聞こえてきた。
俺は聞こえない振りをしてゲームを始める。
でも全神経を柳さんに集中して音を拾った。
ごそごそとシーツの擦れる音がしてるから、たぶん必死になって体を起こそうとしてるんだろうな。
気付かれないように窓に映る柳さんを見ると、やっとの思いで起き上がって、
でも上手くバランスが取れないもんだから、また前のめりに倒れちゃってイモムシみたいにシーツの上をのた打ち回ってる。
顔と肩をシーツに埋め、腰だけを高く上げた状態で、何か誘ってるみたいに見えた。
そんな様子に勝手に反応する股間に慌てて視線を逸らして画面に意識を戻す。
そこに映り込んだ俺の目は、もういつもの色を取り戻している。
あんまり内容は頭に入ってこないけど、柳さんからゲームに神経を向けていると、突然背後でドサッて凄い音がした。
びっくりして思わず振り返ると、柳さんがベッドから落ちていた。
「―――ぅっ…」
また肩を打っちゃったんだ。可哀想。
しばらく呆然と見てると柳さんがむくっと起き上がって目が合ってしまった。
俺は驚いた顔を引っ込めて無表情を装った後、目を逸らす。
「あ……あか…やっ」
「何ー?」
背後にずりずりと肌が床を擦る音がする。
ああ、またイモムシみたいに這ってるんだ。
見たい。そんな無様な恰好した柳さんを。
でも見たら可哀想になって助け起こしたくなっちゃうから見ないようにしないと。
そう思って画面に集中してたら、いきなり膝の上に影が降ってきて驚いた。
電源落としたDSを横に置いて見下ろすと、柳さんは犬みたいに俺の膝に擦り寄って乞うように見つめてくる。
「赤也っ…ちが…うっんっっ」
「何が?さっきから違う違うばっかでさー何が言いたいんっスか?」
「どんなお前もっ…好きだっ…お前を侮蔑する他の奴らなんかと…一緒にしないでくれっ」
こんな恥かしい恰好なのに、驚くほど真剣な柳さんの様子に俺は呆気に取られた。
ちょっとやりすぎたか、って思ったけど、いい機会だ。
柳さんの心の底が全部見れるかもしれない。
俺は黙って耳を傾けた。
「さっきの失言は…本当にすまなかったと思っている。ただ…こんな風にされると……色々…その、我慢がきかなくなる」
「ガマン?何の?」
「だから……その…」
口籠って、柳さんは言葉を止めてしまった。
しばらく待ってたけど続きを言ってくれる様子がない。
顔真っ赤にして目を逸らすばっかりで、いい加減焦れてきた。
「もー…言う気ないんならもういいっスよ」
「あっ待てっ!」
立ち上がろうとしたら、体を膝の上に乗せてきて動きを封じてきた。
ここまでして言いたい事って何?早く聞かせてよ柳さん。
「だから…ほ…本当は……お前と…するのが、その、すごく…好き…なんだ」
「……で?」
ほんとにこの人エロい事大好きだったんだ。
イヤだイヤだってのも口先だけだったんだ。
俺とセックスするのが…
ダメだ。顔が緩んでいくのが止まらない。
「しかしそんな姿…お前が……もし…その……普段の俺と比べて…幻滅悲哀してしまったらと…思うと…素直になれなかった」
もごもごと口の中で言うだけだったけど、でも全部聞いてしまった。
この人の心の中。
もう嬉しくて嬉しくて今すぐ抱き締めてあげたい。
けど言ってあげないと。
折角見せてくれた心を、ちゃんと受け止めてあげないと。
「柳さん」
「な…何だ?やはり…こんな俺は…嫌か?」
「言ったっしょ?どんなアンタも好きですよ。どんなにエロい事考えてても全部受け入れますよ俺は」
涙で濡れた頬を両手で包んで、じっと目を見て言うと、今度こそ安心できたと嬉しそうにはっきりと笑顔を見せてくれた。
顔を引き寄せて、今日初めてのキスをする。
ちゅっと軽い音を立てて離すと、柳さんの方から追いかけるように唇を合わせてくる。
こんなに積極的にキスされたのは初めてだ。
後ろ手に縛られてて苦しいだろうに、膝立ちになって一生懸命舌で口の中を探るようにキスしてくる柳さんは、何かふっ切れたようにも見える。
物珍しさからくる驚きで、いつもの俺ならその動きに応えるんだけど、それが出来ないでいると顔を離して不安げに見つめてくる。
「まだ…その気にならないか?」
「へ?!」
何の話だ、って焦って、数秒ブランクで思い出した。
さっきマッサージ棒突っ込む前に俺が言った事真に受けてんだ。
どうしよう。ほんとは今すぐにでも襲い掛かりたい。
でも、何されるかってのもちょっと気になる。
「早く……赤也を感じたい」
ズボンの上から股間をうっとりと頬擦りされて思わず腰を引いてしまった。
何て勿体無い事を…!!
でも柳さんはすぐ動きを追いかけるように顔を近付けると、歯でファスナーを噛んで下ろし始める。
ちょっと待て!何か変なスイッチ入っちまった?!
今までなら考えられない事が目の前で繰り広げられている。
でもここでパニックになってるとこ見られたくない。
俺は何度も深呼吸して必死で心を落ち着けた。
「……あかや…」
流石にボタンまでは口で開けられない、と目で訴えてくる。
そんな潤んだ目で見られたら、本当にヤバい。
それだけで反応しちまう。
震えないように気をつけながら指先で手早くボタンを外すと、待ってましたとばかりに
柳さんはパンツのゴムを噛んで半勃起状態の俺のチンコを取り出した。
嘘だ…
あれだけ頼んでも頑なに嫌がっていた口での奉仕を、自ら始めた柳さんを呆然と見下ろす。
手が使えないから口に銜えてたり、舌で色んな場所をくすぐるように辿ったり。
「…っっ!」
「…気持ちいいか?」
敏感な場所を繰り返し吸われて思わず息を詰めたら嬉しそうに見上げてきた。
ほんとにヤバいって!!そんな風に上目遣いで見られたらマジで…!!
「あかや…どんどん大きくなっているな」
折角さっきまでこちら優位だったのに、翻弄されてる。面白くねえ。
俺は歯を食いしばって腰を引いた。
「あっ」
「何?もっと欲しい?」
さっきまであんなに積極的だったのに、恥ずかしそうに目を伏せる。
これがこの人の手練なんだろうか。
「どうなんっスか?」
「あ…欲しい…でも、その前に…」
「何?」
「手を…外してくれ……痛いんだ」
俺の膝の上でもぞもぞと動いて訴えるように見つめてくる。
どうしよう。
よく見ると白い手首が赤くなりかけてる。
「あ…もう…一人でしないからっ…」
「…いいよ。あっち向いて」
これ以上この綺麗な体が俺以外のモンに傷つけられるのはイヤだ。
俺は勉強机に手を伸ばしてハサミを取ると、ヒモを切った。
やっと窮屈な体勢から解放された柳さんは這いつくばって長く息を吐いた後、体を起こしていきなり抱き締めてきた。
「赤也…あか…や」
「何?」
よしよしって、柳さんがいつも俺にしてくれるみたいに頭を撫でてあげるとまたキスしてくれた。
最初は軽く、だんだん貪るように深く。
「―――っん?!」
キスに気を取られてたらいきなり股間に手を伸ばされて思わず飛び上がりそうになった。
さっき煽られた熱がまだ残ってるから、不意打ち食らったらマジでヤバい。
「早く続きを……」
こんな事始めてからかれこれ一時間近く引き伸ばされてる絶頂を早く味わいたいんだろう。
泣きそうに切ない顔で訴えてくる。
この人の表情マジで股間直撃してくるなあ、と呑気に考えた瞬間、今度は手と口両方で刺激を始めた。
「ちょっ…」
「んんっ…はあっ」
ケツを高く上げて俺の股間に顔埋めて俺のしゃぶって、何考えてんだろ。
自分でも言ってたけど、普段の柳さんの様子から今のこんな姿は想像もつかない。
でもこれが紛れもないこの人の本性なんだ。
「お前と…」
「…ん?」
銜えながら喋られて、思わず声上げそうになった。
辛うじて聞き返すように誤魔化したけど、上ずったのバレたかもしれない。
「こういう事をするたび…どんどんと…んっ…いやらしい事ばかり考えるようになって……んあっ」
ちょっと!しゃぶりながら喋んないでくれ!!
ドロドロと先端から溢れる俺の先走りと柳さんの唾液でぐちゅぐちゅと水音を立てて、
それ聞いてるだけでも腰抜けそうなぐらい気持ちいいのに。
「はあ…っ自分でも…おかしいんじゃないかと思うほど……お前が欲しい」
言葉の最後を聞き終えた瞬間、思い切り吸い上げられて俺は強烈な快感に襲われてそのままイってしまった。
「――――っっ!!」
「あっ…っん!」
げっ!ヤバッ!!思いっきり顔にぶちまけちまった。
けど精液かぶった柳さんの恍惚とした顔は、今まで見た中で一番いやらしい顔をしてる。
赤くなった頬を伝う白濁液を指で掬うと、いきなりその指を口に入れた。
へ?!舐めた?!
「赤也の味…こんななんだな」
挑発的にニヤっと笑ってそんな事言われて、また気持ちが高ぶってくる。
やられっぱなしは性に合わない。
俺は柳さんの腕を掴んで立ち上がると、ベッドに連れて行って押し倒した。
「あっ」
転がった拍子に見えた柳さんのチンコはまた少し勃ち上がってる。
「俺のしゃぶりながら興奮してたんだ」
この人どうしょうもない淫乱だな。
でもそんなアンタも大好きですよ、そう言うと顔真っ赤にして頷いた。
「これも…外して……」
柳さんは根元を縛ってるヒモを指して、訴えてくる。
また勃ってきた所為で痛くなってきたんだな。
「どうしよっかなー?外したらアンタすぐイっちゃいそうなんだもん」
「イかないからっ!お前がいいと言うまでっっ」
あーダメだ。マジで楽しい。
こんな状況でなきゃ柳さんのこんな姿見れないんだ。
今のこの人の全部が俺次第って、何て気分がいいんだろう。
「絶対?約束できる?」
「ああっ!だからっ」
「口先だけだったら怒るからね」
一応そう釘差して、俺はさっきのハサミを手にした。
けどどうやって切ろうかな。
結構ギチギチっつーか、ハサミを入れる隙間が無い。
でも、
「カッターじゃマズいよなー…」
「……え?」
俺の無意識に出た声は柳さんの耳にも届いたみたいで、一瞬身を硬くした。
怯えた表情で見上げてきてるけど、よく見たらさっきより柳さんのがデカくなってる。
「…何興奮してんの?」
「ああっっ!!」
そっと指を添えて上下に扱くと、体を跳ね上げた。
「痛くされんの想像して気持ちよくなっちゃった?」
「ちがっ!んんっっ」
「へーアンタってやっぱマゾっ気あんだ」
それなら多少無理したって大丈夫だ。
俺は身を屈めて柳さんの足を掴むと大きく左右に開いた。
「あ!嫌だっっ!赤也っ!!」
「動いたら危ないっスよ」
反射的に足を閉じようとする柳さんの足を押さえる。
M字に大きく足を開いた間に体を入れて、食い入るように股間を眺める。
見られてますます興奮しちゃったみたいでみるみる赤く充血するチンコが痛々しい。
「はあっはあっ…あっ」
熱を持ったそれに冷たいハサミの切っ先が当たって、体を揺らす。
「だーから動いたら危ないってば」
「あ…あ…っあか…や…おねが…い……早くっ…」
さっきまでは頼む、なんて言い方してたくせに。
舌っ足らずにねだる柳さんが可愛い。
「大丈夫ですよ。怖がんなくても痛い事はしませんから」
「はあっ!っん!!」
力を抜くようにつーっと舌を太股に這わせると、ますます体を震わせる。
見上げたら今にも泣きそうな柳さんの期待と不安の入り混じった目が見えた。
一歩間違えたら大ケガになるかもしれない極限状態に追い詰められて、興奮してんだ。
俺は慎重にハサミをヒモと肉の間に入れた。
「動くとチンコ切っちゃうよ」
「イヤだっ!イヤあぁっ早くぅっ!切ってっっ!あっ!」
早く早くって言ってるけど、ハサミ入れてからますます大きく膨らんできている気がする。
「あんま濡らすと刃先滑って切れないっス」
「そんな…事を…言ってもっっぅ」
目ぇぎゅっと瞑って歯を食いしばって必死に堪えようとしてるけど、出来ていない。
普段は大抵の事を涼しい顔でやってのけちゃうこの人の事だ、こんなの相当屈辱的だろうな。
「じゃあ切るね。絶対イかないでよ。今度は一緒にイきたいから」
「わかっ…わかったっっ」
ハサミを握り直し、慎重に刃を動かしてヒモを切った。
その瞬間、
「あああああっっあーっっっ!!!」
案の定の結果だ。
柳さんは俺の顔に届くぐらいの勢いで派手に精液飛ばしてイってしまった。
くったりと枕とクッションの海に倒れこんで、はあはあと荒い息を繰り返している。
目が空ろになってるから、もしかしたら軽く意識飛んでんのかも。
「約束、破っちゃったね」
「…あ……」
「嘘つき」
こんなの想定の範囲内だけど、わざと意地悪く囁くと柳さんははっと目を見開いて怯えた目を向けてくる。
ハサミを床に放り投げて、口の端についた柳さんの精液を舐める。
「もういいよね。一人気持ちよくイっちゃったんだし、俺いらないよね?」
「ごめ…赤也っ」
柳さんは慌てた様子で縋り付いてきて、自分の飛ばしたもので汚れた顔を舐め始めた。
自分の舐めんのってどんな気分なんだろ。
俺だったら絶対無理。気持ち悪くて出来ない。
柳さんのならいくらでも舐めれるけど。
俺の機嫌を伺いながらぺろぺろと猫か犬みたいに舐めてくる柳さんの顔をじっと見つめる。
「あかや…すまない……今度こそ…ちゃんとするから…」
「するから、何?」
「…い…入れて…赤也の…で、イきたい」
肩に抱きつきながらこんな風にねだってくるなんて、二時間前の柳さんなら考えられない。
やっぱり思い切ってこんな事やって大正解だ。
「どうしよっかなー?そうやってまた約束破るんだろ?」
「わ…わかった…」
今度は何するんだ。
柳さんはよたよたと重そうに体を起こして部屋を見渡した。
何かを見つけてそれに手を伸ばす。
その先には俺の買ってきた100円ショップの商品がある。
袋から出して散乱したそれらの中から柳さんはリボンを手に取って、いきなり自分のチンコの根元を縛り始めた。
「へ?!ちょっ…」
確かにこれは、最初こういう事をするつもりで買ってきたもんだ。
でも家で結束機見つけたから、使わずにいた。
それを今になって柳さん自らが、と俺は驚いて声も出ない。
柳さんは震える指で、だけど器用に結び目を作った。
1mある真っ赤なリボンがひらっと白い足に絡んだ。
「これで……どうだ?も……イけない…だろう?」
「柳さん…」
「赤也が…イきたくなったら……ここを引けば解ける…から…次は一緒に……」
薄笑み浮かべてそんな事言われて、俺は完全に白旗を上げた。
たまんない。可愛い。愛しい。
そしてこの人の全部が欲しい。
俺は柳さんの首に齧りつきながら、体を押し倒した。
「あっ!」
足を大きく広げて間に体を滑り込ませ、何度も唇を吸い上げる。
「赤也っあっ…んあっ」
声聞いてるだけで腹に付きそうなぐらい勃って、完全に煮えきった自分のモノにゴムを被せてローションを垂らして、
さっきから口をひくひく開け閉めしてる柳さんの孔を目掛けて腰を進めた。
「ひっっ!あああああんっっ!んんっあ!!!」
悲鳴みたいな喘ぎが鼓膜を、強烈な締め付けが腰を焼く。
あんなにめちゃくちゃにしてやったのに全然緩んでない柳さんの孔に食い殺されそうになった。
入れた拍子にイくなんてカッコ悪すぎる。さっきあんなにガマンしろって言ってたのに。
俺は半分まで入れたところで腹に力を込めて必死に堪えた。
「―――っっ…」
「あ…っあか…やっ」
「……何…?」
声が掠れてみっともない。
情けない顔見られないように俯いて逸らすと、体引き寄せるようにぎゅっと肩に縋り付いてくる。
ちょっと待って。今動くとすぐにイっちまいそう。
でも柳さんは嬉しそうに恍惚とした顔で見上げてくる。
「……もっ…と」
「っっ!ちょっ…」
長い足を俺の腰に絡めてねだるように腰を揺らしてくる。
ほんとにヤバいって!!
「もっと…奥…まで」
半開きになった口の中でひらりと揺らめく赤く腫れた舌を見て、俺の中の何かがキレた。
俺は腰に絡んだ柳さんの脚を持ち上げると大きく広げて一気に突き入れた。
柳さんは背中を反らせて跳ね上がった。
「―――――ひぃっっっんっ!!!」
一気に許容量超えた悲鳴上げて、甲高くひっくり返った。
掠れた声を漏らしながら俺の背中に爪を立てて、ぶるぶる震えながら襲ってきた衝撃に耐えてる。
俺はもうガマンするのを止めて思いっきり突き上げた。
柳さんの体が一番欲しがってる場所ばかりを狙って、何度も。
「あっあっ!そこ駄目…!!!んあっああっあか…やっ…も…っとゆっく…りっっ」
「もっとっつったのアンタっスよ」
煽ったのもねだったのもこの人だ。
縋り付いてくる腕を離させて体を起こした。
そして腰を持ち上げて下から突き上げるように揺さぶると、
結合した場所が派手にぐちゃぐちゃ音を立てて、それが余計に熱を煽る。
「あかやっ…あっ…あか…やぁっっ」
柳さんは行き場を失った手で頭を抱えるようにして身悶える。
髪を掻き毟って、どうしようもない快感をやり過ごそうとしてる。
正直俺も限界寸前だけど、まだイかせてやらない。
俺は柳さんを堰き止めているリボンに指を引っ掛けた。
やっとイかせてもらえるって思ったんだろう。
一瞬表情が緩んだ。
でも、
「ひっっあああああああああああっっ!!!あんっ!やっ!!」
一気に締め上げられて、大袈裟なぐらいに体を痙攣させる。
「あか…やっっそっち…ちがっっぅ…くぅっっ!!!」
「っっ…!!…ごめんね、間違えちゃったや」
本当はわざとだけど。
柳さんがこっちを引け、って言った、反対の端を思い切り引っ張ったのだ。
けどその反動で思いっきり後ろ締め上げられて、俺の限界点も突破してしまった。
ほんとはもっといじめてやりたかったけど、限界だ。
俺は離してた体をもう一度密着させて柳さんの胸元に唇を寄せる。
そこで赤く立ち上がってる乳首に齧り付きながら、緩く腰を揺らした。
「んっっんんっくっっぅう」
子犬みたいな情けない泣き声上げる姿が可愛い。
もっと声聞かせて、って耳元で言って、根元縛ったリボンで刺激する。
「あっっそれっっ駄目っあ!!あっっも…ぅ…」
三点一斉に攻められて柳さんは悶えるように体をくねらせてすすり泣き始めた。
「もうっ…駄目…イ…きた……ひっっあっあんっ」
「…イきた…い?」
余裕ぶってやろうと思ったのに、荒い息で言葉が途切れた。
だっていつもより締め付けが強いし、中は熱くて蠕動して奥へ奥へ飲み込まれるようで、俺も声上げそうになるのを堪えるので必死だ。
腰が砕けそうなぐらい気持ちいい。
たまんない。
「……ね、柳さん、どう?いつもより気持ちいい?」
リボン持ってない方の手で腰を掴んでガクガクと揺さぶるとその反動ではなく明確に縦に首を振る。
もう声にもならないんだ。
肩で大きく息をする度ぎゅうぎゅう締め付けてくる孔を押し広げるように腰を回した。
「あ!!!んっっ!はぁっっはあっあか…やぁ……はぁ…っっいっしょ…に…」
潤んだ目で訴えられて、俺は歯でリボンを噛むと両手で腰を抱いて一番奥まで突き入れた。
「ひっっんんっあん!!あんっやっっあか…や…あん!!あっあっあかやっあかやっ!」
柳さんの胸に顔を埋めると俺の頭を抱きかかえるように、縋り付いているようにも思える仕草を見せる。
胸が熱くなっていっぱいになって、体ん中が全部この人になった。
「柳さんっ…!!」
「あかやっあかやぁっ!!」
俺は柳さんの声が一番蕩ける箇所を突き上げながら、噛んだリボンの端を思いっきり引っ張った。
「んあああああああああ!あっ!!!」
「っっ!!」
リボンが解けると柳さんのモノが弾けるように精液を吹き出した。
同時に強烈に締め付けられて俺も柳さんの中に欲望の全部を吐き出した。
一緒に魂まで吸い取られたみたいに体中から力が抜ける。
どさっと柳さんの上に体を投げ出してしまった。
柳さんの中入ったままだけど、重いかな、って思ったけど今は指一本動かすのもダルい。
無理な体勢強いてるのに、柳さんは優しく髪を撫でてくれた。
「柳さん…」
「…ん?」
「……大好き…」
「何だ急に…」
「好き。好き…大好き」
甘えるみたいにすりって胸に顔を寄せて繰り返すと、俺の頭を抱き締めてくれた。
「アンタの本音聞いて、ますます好きになったっス」
「ありがとう。俺も、大好きだ」
「ほんとに?全部?どんな俺も好き?」
何の事言ってるのか解ったのか、柳さんはちょっと苦しそうな顔で頷く。
「ああ」
「よかった」
呼吸も落ち着いてちょっとずつ体に力が戻ってきて、でも熱まで一緒に戻ってきてしまった。
「…赤也?お前…」
中の硬度に柳さんの表情がぴくっと動いた。
さっきまでの穏やかな顔じゃない、焦りを含んだ顔になった。
「…もっかいやっていい?」
「待て!少し休ませろ!続けては無理だ!!」
なるべく刺激しないように甘えた調子で聞いたけど、思いっきり拒否られた。
逃げるように腰を引かれたから俺も諦めてそのまま抜き出す。
「っぅんっっ」
甘い声上げて震えるから思わずもう一回突き入れてやろうかと思った。
でもまあいい。
お泊りはあと2日残っている。
「あかや…」
「後始末、俺がするから寝てていいよ」
一気に疲れがやってきたのか、うとうとと目を閉じる柳さんの頬にキスを落とした。
でも、この残りの2日。
俺は今日の行動を激しく後悔する事となった。
…To be continued.