何や切なくなってきたので強制終了。
赤也に悪気はない。
ただちょっと二人の間に温度差があるだけなんだよ。
運命の車輪
*一応赤柳です<br>
*でもちょっと(だいぶ)赤→←←←←←←←←←←←←←←←←柳<br>
*めっちゃ都合のいい男柳蓮二<br>
*赤也がノーマル嗜好で蓮二さんが襲われたい受<br>
*ちょっと蓮二さんが切ないのでアイタタでも大丈夫な方だけ読んでね
先週の日曜日の話だった。
柳は赤也と約束をしていた。
部活が休みだから遊びに行こうとだけの、酷く曖昧な口約束だったが、柳はそれを楽しみにしていた。
だが前日、否、当日。
日付が変わった頃入った赤也からの一方的なキャンセルのメールに落ち込んだ。
謝るでもなく、予定が入ったので明日行けなくなりましたとだけ書かれた味気ないメールに、解った残念だとだけ返した。
それから一時間、二時間と返信を待ったが、返ってくる事はなかった。
きっと大切な用なのだろう。
自分との約束を反故にしてまで行かなくてはならない程の、そう思って疑わなかった。
だがそんな思いを裏切るように、柳は事実を知ってしまった。
午後、珍しく仁王から入ったメールに愕然とした。
赤也は同級生の女の子と遊んでいたというのだ。
直接赤也から聞いたわけではない。
ただ噂を耳にしただけだ、赤也の口からはっきりと聞いたわけではない。
そう、これはただの噂だ。
しかしそんな柳の純心をあざ笑うように、赤也は無邪気に言ってのけた。
「一回デートしたら諦めるっつーから一日遊びに付き合っただけですよ」
「……何?」
絶望に足元が崩れ落ちそうな程の思いをする柳とは裏腹に、赤也は頭を掻きながら何でもない事のように話を続けた。
「ほんっと面倒臭ぇー…今日だけーとか言っときながら帰る間際んなったらやっぱ諦めらんねえとかって泣かれて…ウザいから帰ってきちゃいましたよ」
「そ…うか……」
約束を反故にした日の夕方、今から行ってもいいですかという旨のメールに柳は二つ返事をした。
もちろんだ、家に居るからうちに来るか、と返すと一時間もしないうちに赤也がやってくる。
そして今日一日の出来事を何事もなかったかのように話したのだ。
まるで自室のようにくつろぐ赤也とは対照的に、柳は体が浮き上がりどんどんと意識が離脱していくような感覚に陥り、身の置き場がないほどに落ち着きをなくす。
理由はどうであれ、自分との約束を反故にして他の子とデートした事は事実。
お前にとって俺の存在とはその程度なのか、という言葉を出さなくて本当によかったと柳は数秒後に痛感した。
「あっ、これって浮気じゃないっスよね?」
「え…?あ……ああ…そう、だな…」
「よかったぁー…これで柳さんにまでとやかく言われたらたまんないっスよ。別に何とも思ってねえのに」
本当にそうなのか、という言葉も赤也にとっては鬱陶しいに違いない。
柳はそれ以上何も言えず、蒼くなる顔を必死に隠し冷静さを装った。
「まあ柳さんとはいつでも遊べるんだし、一日ぐらいいいでしょ?」
「……ああ…もちろんだ…」
赤也にとっては何でもない、取り止めのない一日なのだ。
少し面倒だったが、しかし女の子にあからさまな好意を向けられ些かの優越感に浸れた一日。
その裏で柳がどんな思いをしたかなど、赤也には関係がないのだ。
赤也にとってはたかが一日だった。
しかし柳にとってその一日は、重く心に圧し掛かる。
恐らく赤也は柳がその名も知らない女子と同じ立場になったとしても同じように面倒がるのだろう。
この気まぐれで直情な男の気持ちを捉えておく為にはこれ以外に方法が解らない。
柳は己の思いも欲望も嫉妬も全てを飲み込み、いつもの微笑みを表情に乗せた。
その表情を見た赤也は何の疑いもなく柳に抱き付き、一日の疲れを取る為の癒しを求めるように唇を寄せた。