Fly to Heaven



*書き下ろし*

光が町を去り、俺が町を訪れなくなって一年と少しが過ぎた。
俺は相変わらず各地を転々としながら根無し草の生活をしていた。
立ち止まれば光を思い出してしまい、振り切れない暗い影が俺を襲う。
あの町を避け、ただ只管にその日を生きる事だけに専念していたのは、少し期待していたからかもしれない。
そう、もしかすると、またどこかで会えるかもしれないという僅かな希望が心に残っていたのだ。
だがこのような形で再会するなど思ってもいなかった。それでも俺は純粋に嬉しかった。どんな形であれ、光がまだこの世に存在していた事を。

〜続〜


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