ブン太→幸村の片恋。実は年季モノ。
もう半分諦めてるけど理屈じゃない。
真田から取ってやろうとも思ってないけどちょっと切ない。そんなキュン恋です。
ちなみに幸村ばっか見てたので中学時代の真田の記憶なんてございません。
そんな一直線バカなブン太が可愛いと思う。
La Familia 92.いつかどこかで
純粋に憧れていた。
テニスに対する情熱。
強く綺麗な瞳。
無条件にカッコいい。
性格は悪そうだけど、嫌な奴じゃなさそう。
あんな風になりたい。
中学二年の時の話だ。
県大会二回戦負けの八強程度では彼の目には止まらないかもしれない。
だから必死に練習した。
このまま強くなれれば間違いなく彼の目に映れる。
そう信じていた。
高校はテニスの強豪校を選んだ。
そうすれば絶対に会えるのだと確信していたから。
テニスさえ続けていれば、いつかどこかで会えると信じていた。
けど再会したのはコートではなく病院だった。
プロのテニスプレイヤーになる事は諦めていたが、
どうしても大好きなテニスに関わっていたくて通い続けていたテニススクール。
その先で出会ったコーチに連れて来られた病院で、何故かパジャマ姿の彼と再会した。
忘れていた気持ちが再び湧き上がってくるのが解った。
それがすでに純粋な憧れだけじゃない事も。
だけど彼の隣にはもう、違う誰かがいた。
諦めるしかなかった。
あんな風な、純粋に無心の傾倒を向けるなんて、俺には絶対にできない事だと思った。
闘うまでもない敗北。
思いに気付くと同時に失恋するなんて、と思わず笑ってしまった。
自分で言うのも何だけど、俺は人好きするタイプだと思うし甘え上手だとも思う。
だからすぐに仲良くなれた。
でもそれ以上は何も望めなかった。
せめて許されるのなら、と一人違う名前の呼び方をした。
名前はダメだ。
あいつの親友って男が言ってるから。
名字は他の皆も呼んでる。
だからちゃん付けで呼んだ。
本人は何か柄じゃないな、と笑っていたけど許してくれた。
鋭いあいつの事だ。
たぶん俺の気持ちにも気付いている。
けど気付かないふりをしてくれている。
こんな気持ちを抱えたままでも側にいる事を許してくれている。
それだけで充分だ。
正直まだ心が付いてこない時もある。
でももう苦しくない。
大丈夫。
まだ笑える。
まだ笑えている。